ビタミンEは、日本の売り場で単体のサプリとしても、マルチビタミンの一成分としてもよく使われる脂溶性のビタミンです。「抗酸化」という言葉と結びつけて紹介されることが多く、ビタミンCやコエンザイムQ10と組み合わせた商品もあります。ビタミンEサプリは油になじむ成分のため、ソフトカプセルで作られることが多い成分です。

本記事では、ビタミンEサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、栄養機能食品として表示する場合の決まり、いわゆる健康食品として売る場合の表示、原料と剤形の決め方を整理します。栄養機能食品のビタミンEの基準は2026年10月1日に改正され、下限値と機能の文言が変わりました。海外の大規模試験の結果も、広告の言葉を選ぶうえで知っておきたい内容です。

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研究で分かっていること

健康な男女数万人を長く追った米国の大規模試験では、高用量のビタミンEを飲んでも、心臓や血管の病気、がんの発生を全体として減らす結果は出ていません。

試験対象結果
ランダム化比較試験(SELECT)、JAMA 2011(PMID 21990298)50〜55歳以上の比較的健康な男性34,887人。合成ビタミンE(酢酸dl-α-トコフェロール)400IU/日、セレン、両方、プラセボの4群ビタミンE単独の群で前立腺がんが統計的に有意に多かった(ハザード比1.17)。セレンとの併用群では有意差なし
ランダム化比較試験(Women’s Health Study)、JAMA 2005(PMID 15998891)45歳以上の健康な米国の女性39,876人。天然型ビタミンE 600IUを1日おき、平均10.1年主要な心血管イベント、がん、総死亡に有意差なし。心血管死だけは24%少なかった
ランダム化比較試験(Physicians’ Health Study II)、JAMA 2008(PMID 18997197)50歳以上の米国の男性医師14,641人。ビタミンE 400IUを1日おき、平均8年主要な心血管イベントと総死亡に差なし。出血性脳卒中が多かった(ハザード比1.74)
ランダム化比較試験(HOPE-TOO)、JAMA 2005(PMID 15769967)血管の病気または糖尿病のある55歳以上の方。天然型ビタミンE 400IU/日、追跡期間の中央値7年がんと主要な心血管イベントに差なし。心不全と心不全による入院が多かった

どの試験も、日本の栄養機能食品の上限値(150mg)より多い量を、何年も飲み続けた条件で行われています。研究の結果は「たくさん飲めばよい」という考え方を支えるものではなく、むしろ高用量を長く続けることへの注意を示しています。4つの試験はいずれも北米を中心とした研究で、日本人だけを対象にしたものではありません。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)

栄養機能食品として表示する場合

ビタミンEは栄養機能食品の対象成分で、2026年10月1日の改正後は、1日あたりの摂取目安量に1.95mg以上150mg以下を含めば、国が決めた文言で機能を表示できます。

栄養機能食品は、国が決めた栄養成分について、決められた機能を表示できる制度です。届出や国の個別審査は必要ありません。そのかわり、量の範囲と表示する文言が、食品表示基準の別表第十一で決まっています。

別表第十一は、2026年10月1日公布・施行の内閣府令(令和8年内閣府令第89号)で改正されました。ビタミンEの基準は次のとおりです。

項目改正後(2026年10月1日施行)改正前
1日あたりの摂取目安量に含まれる量下限値1.95mg、上限値150mg下限値1.89mg、上限値150mg
栄養成分の機能「ビタミンEは、抗酸化作用により細胞を保護するのを助ける栄養素のひとつです。」「ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です。」

摂取をする上での注意事項は、改正の前後で同じ次の文言です。

「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。」

下限値は、栄養素等表示基準値6.5mgの30%です。上限値150mgは改正の前後で変わらず、消費者庁の資料では医薬部外品の1日最大分量をもとにした値と説明されています。

改正府令の附則には経過措置があり、令和12年(2030年)3月31日までに製造・加工・輸入される加工食品は、改正前の基準によることもできます。改正前の基準で表示する場合は、量も文言も改正前の基準でそろえます。

機能の文言と注意事項は、主旨が同じでも言い換えや省略が認められていません。ほかにも、次の表示が必要です。

  • 「栄養機能食品(ビタミンE)」のような、栄養機能食品である旨と成分の名称
  • 1日あたりの摂取目安量と、摂取の方法
  • 「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の文言
  • 「本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」の文言
  • 1日あたりの摂取目安量に含まれるビタミンEが、栄養素等表示基準値に占める割合

ビタミンEのように食事摂取基準で摂取基準が決まっている栄養素は、機能性表示食品の機能性関与成分にはできません。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、ビタミンEの耐容上限量を成人男性で800mg、成人女性で650〜700mgとしています(α-トコフェロールとしての量)。

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

栄養機能食品の表示をしないビタミンEサプリは、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定ビタミンEサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)「血行をよくする」「老化を防ぐ」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「医師も推薦」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1粒にビタミンE〇mg」(量の事実)「心臓を守る」「がんを防ぐ」など病気と結びつける表現
栄養機能食品の決まった文言(範囲内の量で、言い換えずに使う)「若返り」「アンチエイジング」など体の変化を約束する表現
「毎日の食事で不足しがちな方に」(使用場面)高用量の試験を、少量のサプリにも当てはまるように見せる表現

ビタミンEの製剤設計

ビタミンEは油に溶けて光・熱・酸素で酸化しやすいため、原料の形と包装が、量と同じくらい品質を左右します。

剤形選ばれる理由検討すること
ソフトカプセル油状の原料をそのまま封入でき、量をそろえやすい皮膜の素材と、酸素を通しにくい包装
錠剤・ハードカプセル粉末化した原料を使い、他のビタミンと組み合わせやすい粉末原料の種類と、配合する成分との相性
マルチビタミン・ミネラルの配合一つの商品で複数の成分を補えるビタミンEは配合の中で酸化しやすい成分の一つ

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の形:天然型のd-α-トコフェロール、合成のdl-α-トコフェロール、酢酸エステルやコハク酸エステルの形があります。原料の形によって、食品添加物としての使い方の条件や、量の数え方が変わるため、工場と確認します。
  2. 1日あたりの量:栄養機能食品にするなら、改正後は1.95〜150mgの範囲です。原料に含まれるビタミンEの割合から配合量を計算し、仕様書には原料名とビタミンEとしての量の両方を書きます。
  3. 組み合わせる成分:ビタミンC、コエンザイムQ10、魚油などと組み合わせることがあります。植物素材は、食品に使えるかどうかの確認が欠かせません。
  4. 包装・安定性:酸化を防ぐため、遮光性のあるボトルやアルミ包装、乾燥剤や脱酸素剤を検討します。

食品表示基準の別表第九では、ビタミンEの表示値の許容差を、プラス50%からマイナス20%までと定めています。保管中の減少を見込んで多めに配合する場合も、上限値150mgを超えないように設計しておくと安心です。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

ビタミンE自体は食品に使われていますが、「巡り」や年齢をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。組み合わせる成分を検討する際は、ビタミンC、マルチビタミンの成分ガイドと、栄養機能食品の基準のまとめも参考にしてください。

見積もりの前に決めておくこと

原料の形、1日あたりの量、剤形、包装、表示の方針が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • ビタミンEの原料の形(天然型・合成・エステル型)と、ビタミンEとしての1日あたりの量
  • 剤形と、ソフトカプセルの場合は皮膜の素材
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 遮光・酸素対策を含む包装の形
  • 栄養機能食品として表示するかどうかと、使う文言(改正後か経過措置か)
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

原料の形によって剤形の向き不向きが変わるため、ソフトカプセルにするか錠剤にするかは、原料と一緒に決めると進めやすくなります。

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よくある質問(FAQ)

ビタミンEの栄養機能食品の基準は、2026年に変わったのですか?

変わりました。2026年10月1日施行の改正で、下限値が1.89mgから1.95mgになり、機能の文言も新しくなりました。上限値の150mgと注意事項は変わっていません。2030年3月31日までに製造する食品は、改正前の基準によることもできます。

「体内の脂質を酸化から守り」という文言は、まだ使えますか?

改正後の基準にはありません。経過措置の期間中に改正前の基準で表示する場合に限って使えます。その場合は、量も改正前の範囲(1.89〜150mg)で確認します。

ビタミンEは多く配合するほど良いのですか?

そうとは言えません。海外の大規模試験では、高用量を長く飲んでも全体としての有益性は示されず、一部の試験では好ましくない結果も報告されています。栄養機能食品の上限値は150mgです。

天然型と合成のビタミンEは、どちらを選べばよいですか?

販売方法と剤形で決まります。油状の原料はソフトカプセル、粉末化したエステル型は錠剤やハードカプセルに向いています。量の数え方も原料で変わるため、工場と原料の規格書を確認して決めます。

ビタミンEを機能性表示食品にできますか?

できません。食事摂取基準で摂取基準が決まっている栄養素は、機能性表示食品の機能性関与成分の対象外とされています。機能を表示したい場合は、栄養機能食品の制度を使います。

参考

(2026年10月12日確認)