ビタミンK2は、納豆に多いことで知られる脂溶性のビタミンです。日本の売り場では、カルシウムやビタミンDと組み合わせた「骨」をテーマにした商品でよく見かけます。ビタミンK2サプリは、マイクログラム単位のごく少ない量で配合できるため、錠剤やカプセルに入れやすい成分です。

本記事では、ビタミンK2サプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、栄養機能食品として表示する場合の決まり、血液凝固阻止薬との関係、原料と剤形の決め方を整理します。ビタミンK2にはMK-7とMK-4という形があり、研究の量も体内での動きも大きく違います。最初に違いを知っておくと、配合と広告の言葉選びで失敗しにくくなります。

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研究で分かっていること

少量のMK-7と、医薬品と同じ高用量のMK-4で、骨の指標に関する試験がそれぞれありますが、量も吸収も大きく違うため、片方の結果をもう片方の根拠にはできません。

試験対象結果
ランダム化比較試験、Calcified Tissue International 2020(PMID 32060566)中国の50〜75歳の男性と閉経後の女性311人。ビタミンK2(論文のキーワードはMK-7)50µg/日、90µg/日、90µgにカルシウムとビタミンD3を加えた群、プラセボを1年間閉経後の女性では、90µgの2群で大腿骨頸部の骨量の減少がプラセボより小さかった。男性では差がなく、カルシウムとビタミンD3を加えても上乗せはなかった
ランダム化比較試験、Osteoporosis International 2007(PMID 17287908、PMC1915640)オランダの大学による研究。55〜75歳の閉経後の健康な女性325人。MK-4(メナテトレノン)45mg/日を3年間骨密度(DXA法)には差がなかった。骨塩量と大腿骨頸部の幅はプラセボより増え、骨の強さの指標はプラセボ群だけが低下した。原料と研究費は医薬品メーカーが提供
吸収の比較試験、Nutrition Journal 2012(PMID 23140417、PMC3502319)日本の20〜21歳の健康な女性。1回投与(各群5人)と7日間の連続投与(各群5人)MK-7は血中濃度がはっきり上がり、48時間後まで検出された。MK-4は420µgの1回投与でも60µg/日の7日間でも、血中濃度が上がらなかった。著者の1人は原料メーカーの所属

MK-7の試験はマイクログラム単位、MK-4の試験は45mg(45,000µg)で、量はおよそ500倍違います。測った指標も異なり、MK-4の試験は一般的な骨密度には差が出ていません。吸収の比較試験は各群5人と小さく、若い女性だけを対象にしています。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録と本文を確認)

栄養機能食品として表示する場合

ビタミンKは栄養機能食品の対象成分で、1日あたりの摂取目安量に45µg以上150µg以下を含めば、国が決めた文言と、血液凝固阻止薬に関する注意事項を表示します。

栄養機能食品は、国が決めた栄養成分について、決められた機能を表示できる制度です。届出や国の個別審査は必要ありません。そのかわり、量の範囲と表示する文言が、食品表示基準の別表第十一で決まっています。成分名は「ビタミンK」で、K2だけの区分はありません。

別表第十一は、2026年10月1日公布・施行の内閣府令(令和8年内閣府令第89号)で改正されました。ビタミンKの基準は次のとおりです。

項目改正後(2026年10月1日施行)改正前
1日あたりの摂取目安量に含まれる量下限値45µg、上限値150µg同じ(45µg、150µg)
栄養成分の機能「ビタミンKは、骨を作るのを助ける栄養素のひとつです。」
「ビタミンKは、正常な血液凝固を助ける栄養素です。」
「ビタミンKは、正常な血液凝固能を維持する栄養素です。」

摂取をする上での注意事項は、改正の前後で同じ次の文言です。

「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。血液凝固阻止薬を服用している方は本品の摂取を避けてください。」

改正で、骨に関する文言が新しく加わりました。下限値は栄養素等表示基準値150µgの30%です。上限値150µgは栄養素等表示基準値と同じ値で、消費者庁の資料では、耐容上限量などが設定されていない成分のため栄養素等表示基準値を上限値にしたと説明されています。

改正府令の附則には経過措置があり、令和12年(2030年)3月31日までに製造・加工・輸入される加工食品は、改正前の基準によることもできます。経過措置を使う場合、表示できる機能は改正前の1文だけです。

機能の文言と注意事項は、主旨が同じでも言い換えや省略が認められていません。ほかにも、次の表示が必要です。

  • 「栄養機能食品(ビタミンK)」のような、栄養機能食品である旨と成分の名称
  • 1日あたりの摂取目安量と、摂取の方法
  • 「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の文言
  • 「本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」の文言
  • 1日あたりの摂取目安量に含まれるビタミンKが、栄養素等表示基準値に占める割合

ビタミンKは食事摂取基準で摂取基準が決まっている栄養素のため、機能性表示食品の機能性関与成分の対象外とされています。

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血液凝固阻止薬とビタミンK

ビタミンKはワルファリンの効き目を弱めることが公的資料に書かれており、ビタミンK2サプリでは服薬中の方への注意を必ず表示と販売の場面に組み込みます。

厚生労働省のパンフレット「健康食品の正しい利用法」は、健康食品の成分と医薬品の相互作用の例として、ビタミンK(青汁、クロレラを含む)とワルファリン(抗凝固剤)を挙げ、影響を「薬効の減弱」としています。同じパンフレットは、薬を飲んでいる人は健康食品を摂取しない、使う場合は医師・薬剤師などに相談する、と呼びかけています。

日本では、MK-4と同じ成分のメナテトレノンが、医療用医薬品としても使われています。添付文書では、効能・効果を「骨粗鬆症における骨量・疼痛の改善」、用量を成人に1日45mgとし、ワルファリンカリウムを投与中の患者には投与しないこととされています。

項目食品のビタミンK2サプリメナテトレノンの医療用医薬品
量の目安栄養機能食品なら45〜150µg/日1日45mg
表示できる内容栄養機能食品の決まった文言だけ承認された効能・効果
ワルファリンとの関係注意事項で摂取を避けるよう表示添付文書で併用しないことと記載

食品のサプリで、医薬品と同じ高用量の試験結果や、医薬品の効能・効果を連想させる言葉を使うことはできません。

いわゆる健康食品として売る場合の表示

栄養機能食品の表示をしないビタミンK2サプリは、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定ビタミンK2サプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)「骨粗しょう症に」「骨密度が上がる」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「医師も推薦」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1粒にビタミンK2(MK-7)〇µg」(形と量の事実)「骨粗しょう症の方に」など病名を挙げた表現
栄養機能食品の決まった文言(範囲内の量で、言い換えずに使う)45mgのMK-4の試験結果を、少量のサプリの根拠にする表現
「血液凝固阻止薬を服用している方は摂取を避けてください」服薬中の方への注意を省いた売り方

ビタミンK2の製剤設計

ビタミンK2はごく少ない量で配合する脂溶性の成分のため、原料の形と含有量の確認、均一に混ぜる工程が設計のポイントです。

剤形選ばれる理由検討すること
ソフトカプセル油になじむ成分で、ビタミンDなど脂溶性の成分と組み合わせやすい皮膜の素材と、光や酸素を防ぐ包装
ハードカプセル・錠剤粉末原料を使い、1回あたりの費用を抑えやすい微量の成分を均一に混ぜる工程
カルシウムなどとの組み合わせ「骨」をテーマにした配合で使われる粒の大きさと、1日の粒数

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の形:MK-7とMK-4では、原料の作り方も規格も異なります。どちらの形か、製法と含有量を原料メーカーに確認し、引用する研究も同じ形のものに限ります。
  2. 1日あたりの量:栄養機能食品にするなら45〜150µgの範囲です。原料は希釈された粉末や油のことが多いため、原料に含まれるビタミンK2の割合から配合量を計算します。
  3. 組み合わせる成分:カルシウム、ビタミンD、マグネシウムと組み合わせることがあります。植物素材は、食品に使えるかどうかの確認が欠かせません。
  4. 注意表示と販売方法:血液凝固阻止薬に関する注意を、包装だけでなく、商品ページや問い合わせ対応にも入れておきます。

食品表示基準の別表第九では、ビタミンKの表示値の許容差を、プラス50%からマイナス20%までと定めています。微量の成分は分析のばらつきも出やすいため、分析の方法と頻度を工場と決めておくと安心です。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

ビタミンK2を食品として扱う場合も、原料が食品または食品添加物として使えるものかを確かめます。「骨」や年齢をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることもあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。組み合わせる成分を検討する際は、ビタミンD、カルシウム、ナットウキナーゼの成分ガイドも参考にしてください。

見積もりの前に決めておくこと

原料の形、1日あたりの量、剤形、組み合わせる成分、注意表示の方針が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • MK-7かMK-4かと、ビタミンK2としての1日あたりの量
  • 剤形と、ソフトカプセルの場合は皮膜の素材
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形
  • 栄養機能食品として表示するかどうかと、使う文言(改正後か経過措置か)
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

ビタミンK2は配合量が微量なため、原料の規格書を早めに取り寄せて、含有量と分析方法を工場と共有しておくと進めやすくなります。

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よくある質問(FAQ)

MK-7とMK-4は、どちらを選べばよいですか?

研究の量と体内での動きが違うため、引用したい研究と同じ形を選びます。日本の小規模な比較試験では、少量のMK-4は血中濃度が上がらず、MK-7ははっきり上がりました。どちらの形でも、根拠にできるのは同じ形・同じ量の研究だけです。

ビタミンKの栄養機能食品の基準は、2026年に変わったのですか?

量の範囲(45〜150µg)と注意事項は変わっていません。機能の文言が変わり、「骨を作るのを助ける」と「正常な血液凝固を助ける」の2文になりました。2030年3月31日までに製造する食品は、改正前の文言によることもできます。

栄養機能食品にしない場合も、薬に関する注意は必要ですか?

公的資料がワルファリンの効き目を弱めると示している成分のため、表示することをおすすめします。厚生労働省のパンフレットも、薬を飲んでいる人には医師・薬剤師への相談を呼びかけています。

医薬品のメナテトレノンと同じ量を、サプリに入れられますか?

おすすめできません。メナテトレノンは1日45mgで医療用医薬品として承認されている成分です。食品で同じ量や同じ効能を連想させると、医薬品とみなされるおそれがあります。

ビタミンK2を機能性表示食品にできますか?

ビタミンKは食事摂取基準で摂取基準が決まっている栄養素のため、機能性表示食品の手引きで機能性関与成分の対象外とされています。機能を表示したい場合は、栄養機能食品の制度を使います。

参考

(2026年10月12日確認)