カルシウムは、日本の売り場で最もなじみのあるミネラルの一つです。単体のサプリのほか、ビタミンDやマグネシウムと組み合わせた「骨」をテーマにした商品、子ども向けのチュアブルや菓子にも使われています。カルシウムサプリは、栄養機能食品として表示できる成分でもあります。

本記事では、カルシウムサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、栄養機能食品として表示する場合の決まり、いわゆる健康食品として売る場合の表示、原料と剤形の決め方を整理します。カルシウムは1日に数百mgと量が多く、粒の大きさや原料の使用基準が設計を左右します。栄養機能食品の基準は2026年10月1日に改正され、下限値と文言が変わりました。

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研究で分かっていること

骨折に関する研究では、カルシウムとビタミンDを一緒にとった試験で小さな差が報告される一方、カルシウムの補給だけの根拠は弱く一貫しないと評価されています。

レビュー対象結果
系統的レビュー・メタ分析、JAMA Network Open 2019(PMID 31860103、PMC6991219)ビタミンDとカルシウムを一緒に毎日とったランダム化比較試験6件・49,282人(カルシウム1日1,000〜1,200mg)と、ビタミンDだけの試験11件・34,243人組み合わせでは骨折全体が6%、大腿骨の付け根の骨折が16%少ない。ビタミンDだけでは差がない
系統的レビュー、BMJ 2015(PMID 26420387、PMC4784799)50歳を超える人を対象に、カルシウムの補給と骨折を調べたランダム化比較試験26件など骨折全体はやや少ない(相対リスク0.89)が、大腿骨の付け根と前腕では差がない。偏りのおそれが最も低い4件・44,505人では、どの部位にも差がない。根拠は弱く一貫しないと結論
メタ分析、Current Developments in Nutrition 2023(PMID 37181938、PMC10111600)カルシウムだけの比較7件・8,634人と、ビタミンDとの組み合わせ6件・46,804人心筋梗塞・脳卒中・全死亡のいずれも、有意な増加は見られない

研究の結果をそのまま商品に当てはめることはできません。骨折の差が出たのは、ビタミンDと組み合わせ、カルシウムを1日1,000〜1,200mgとった試験です。2015年のレビューは、公表された研究にカルシウムに有利な偏りがある可能性も指摘しています。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)

栄養機能食品として表示する場合

カルシウムは栄養機能食品の対象成分で、2026年10月1日の改正後は、1日あたりの摂取目安量に210mg以上600mg以下を含めば、国が決めた文言で機能を表示できます。

栄養機能食品は、国が決めた栄養成分について、決められた機能を表示できる制度です。届出や国の個別審査は必要ありません。そのかわり、量の範囲と表示する文言が、食品表示基準の別表第十一で決まっています。

別表第十一は、2026年10月1日公布・施行の内閣府令(令和8年内閣府令第89号)で改正されました。カルシウムの基準は次のとおりです。

項目改正後(2026年10月1日施行)改正前
1日あたりの摂取目安量に含まれる量下限値210mg、上限値600mg下限値204mg、上限値600mg
栄養成分の機能「カルシウムは、骨や歯を作るのに必要な栄養素のひとつです。」「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。」

摂取をする上での注意事項は、改正の前後で同じ次の文言です。

「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。」

下限値の210mgは、栄養素等表示基準値700mgの30%です。上限値の600mgは、医薬部外品の1日最大分量をもとにした値で、今回の見直しでも変わっていません。亜鉛やマグネシウムと違い、乳幼児・小児の摂取を避ける旨の一文はありません。

改正府令の附則には経過措置があり、令和12年(2030年)3月31日までに製造・加工・輸入される加工食品は、改正前の基準によることもできます。改正前の下限値204mgぎりぎりで設計している配合は、改正後の210mgに届かないことがあるため、配合量を確認しておきます。

機能の文言と注意事項は、主旨が同じでも言い換えや省略が認められていません。ほかにも、次の表示が必要です。

  • 「栄養機能食品(カルシウム)」のような、栄養機能食品である旨と成分の名称
  • 1日あたりの摂取目安量と、摂取の方法
  • 「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の文言
  • 「本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」の文言
  • 1日あたりの摂取目安量に含まれるカルシウムが、栄養素等表示基準値に占める割合

カルシウムは食事摂取基準で摂取基準が決まっている栄養素のため、機能性表示食品の機能性関与成分にはできません。骨の健康に関するリスク低減の表示は、国の個別許可を受ける特定保健用食品の疾病リスク低減表示の対象で、関与成分はカルシウムと葉酸です。

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

栄養機能食品の表示をしないカルシウムサプリは、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定カルシウムサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)「骨粗しょう症に」「骨折を防ぐ」「背が伸びる」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「医師も推薦」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日分(4粒)にカルシウム〇mg」(量の事実)「骨折しにくい体へ」「骨密度アップ」
栄養機能食品の決まった文言(範囲内の量で、言い換えずに使う)子どもの身長が伸びるかのような表現
「乳製品をあまりとらない方の毎日に」(使用場面)ビタミンDとの組み合わせ試験の結果を、カルシウムだけの商品に当てはめる表現

カルシウムの製剤設計

カルシウムは1日に数百mgと量が多く、原料のカルシウムの割合と食品添加物の使用基準によって、粒の大きさと1日の粒数が決まります。

剤形選ばれる理由検討すること
錠剤量を正確にそろえやすく、1回あたりの費用を抑えやすい粒が大きくなりやすく、1日の粒数が増える
チュアブル錠・タブレット菓子水なしで食べられ、子ども向けにもなじみがある粉っぽさや味の設計、糖分の量
顆粒・粉末スティック大きな粒を飲まずに済む溶けにくさ、ざらつき、包装

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の種類:炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、卵殻や貝殻由来のカルシウムなどがあります。炭酸カルシウムは重さの約4割がカルシウムで、クエン酸カルシウムは約2割のため、同じ量でも原料の重さが大きく違います。
  2. 食品添加物の使用基準:クエン酸カルシウムや乳酸カルシウムなどは、使用基準でカルシウムとしての使用量が食品の1.0%以下と決められています(特別用途表示の許可等を受けた場合を除く)。原料ごとの基準と配合率を、工場と確認します。
  3. 1日あたりの量:栄養機能食品にするなら、改正後は210〜600mgの範囲です。1日の粒数と1粒の重さから、配合できる量を逆算します。
  4. アレルゲン:卵殻カルシウムを使う場合は、特定原材料の「卵」の表示を工場と確認します。
  5. 組み合わせる成分:ビタミンD、マグネシウム、ビタミンKなどと組み合わせることがあります。それぞれの成分の表示基準と、植物素材を使う場合は食品に使えるかの確認が必要です。

カルシウムは、原料の重さとカルシウムそのものの量が大きく違う成分です。仕様書には原料名と、カルシウムとしての量の両方を書いておくと、工場とのやりとりで行き違いが起きにくくなります。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

カルシウム自体は食品に広く使われていますが、骨や成長をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。組み合わせる成分を検討する際は、ビタミンD、マグネシウム、マルチビタミンの成分ガイドや、栄養機能食品の解説、アレルゲン表示の解説も参考にしてください。

見積もりの前に決めておくこと

原料の種類、1日あたりの量と粒数、剤形、組み合わせる成分、表示の方針が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • カルシウムの原料の種類と、カルシウムとしての1日あたりの量
  • 1日あたりの粒数、または1包の量
  • 剤形と、チュアブルの場合は味
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 栄養機能食品として表示するかどうかと、使う基準(改正後か経過措置か)
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

カルシウムは量で粒の大きさが決まる成分です。飲みやすさと1日の量のどちらを優先するかを、先に決めておくと設計が早く進みます。

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よくある質問(FAQ)

カルシウムの栄養機能食品の基準は、2026年に変わったのですか?

変わりました。2026年10月1日施行の改正で、下限値が204mgから210mgになり、機能の文言も新しくなりました。上限値600mgと注意事項は変わっていません。2030年3月31日までに製造する食品は、改正前の基準によることもできます。

カルシウムサプリで、骨折を防ぐと書けますか?

書けません。食品で病気の予防をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがあります。研究でも、骨折の差はビタミンDとの組み合わせで報告されたもので、カルシウムだけの根拠は弱いと評価されています。

カルシウムとビタミンDは、一緒に配合したほうがよいですか?

研究はビタミンDとの組み合わせが中心です。両方とも栄養機能食品の対象成分なので、それぞれの量が基準の範囲に入れば、両方の文言を表示できます。注意事項も成分ごとに必要です。

カルシウムの錠剤は、なぜ大きくなりやすいのですか?

1日に数百mgと量が多く、原料のうちカルシウムの割合が4割程度以下のためです。原料によっては使用基準で配合率にも上限があります。粒数を増やすか、顆粒やチュアブルにするかを工場と検討します。

子ども向けのカルシウムサプリは作れますか?

作れます。チュアブルや菓子の形がよく使われます。表示では身長や成長への効果をうたわないことが大切で、量と表示の方針を先に決めておくと設計しやすくなります。

参考

(2026年10月12日確認)