海外の工場から仕入れたドアバイザーやフロアマット、自社ブランドで作ったボンネットガードやラゲッジトレイを、日本のネットショップやモールで売る場合、カー用品は「車に合うかどうか」で評価が決まる商品のため、販売ページの作り方ひとつで、返品の多さも、万一の事故のときの責任の重さも変わります。
本記事では、日本でカー用品をネット販売する前に確認しておきたいことを、製造物責任、表示のルール、適合表示、取扱説明書、梱包と返品対策の順に整理します。法令は、e-Gov法令検索と消費者庁の資料で確認した内容だけを書いています。カー用品をアジアから仕入れる方法の全体像はカー用品OEM・仕入れ|台湾・タイ・マレーシアをご覧ください。
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輸入して売る会社・ブランドを付ける会社の責任
製造物責任法では、製品を輸入した会社だけでなく、自社の名前や商標を製造業者として表示した会社も「製造業者等」に含まれ、欠陥による損害の賠償責任を負うことがあります。
製造物責任法第2条第3項は、責任を負う「製造業者等」を次のように定めています。
| 号 | 対象 | カー用品の販売での例 |
|---|---|---|
| 第1号 | 製造物を業として製造・加工・輸入した者 | 海外工場の製品を自社で輸入して販売する会社 |
| 第2号 | 製造業者として氏名・商号・商標などを表示した者、または製造業者と誤認させる表示をした者 | 自社ブランド名を付けてOEM品を売る会社 |
| 第3号 | 製造・輸入・販売の形態などから、実質的な製造業者と認められる表示をした者 | 「発売元」などとして自社名を表示し、販売の形態から実質的な製造業者と見られる会社 |
つまり、輸入を商社に任せていても、自社ブランドを製造業者として表示して売れば、第2号の「製造業者等」に当たる可能性があります。同法第3条は、引き渡した製造物の欠陥で他人の生命・身体・財産を侵害したときの賠償責任を定めています(損害がその製品だけに生じたときは除く)。
損害賠償の請求権は、同法第5条により、被害者が損害と賠償義務者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年)、または製造業者等が製品を引き渡した時から10年で、時効によって消滅します。販売を終えた後も、一定の期間は責任を問われる可能性があることを前提に、記録を残しておきます。
責任に備えて準備すること
- 工場との間で、品質基準、検品の方法、不良が出たときの対応を書面で決める
- ロットごとの検品記録、試験成績書、サンプルの確認記録を保管する
- 取扱説明書と警告表示を日本語で整える(後述)
- PL保険(生産物賠償責任保険)への加入を検討する
外装品や重量物の取付部の考え方はサイドステップ・ルーフラックの仕入れと保安基準でも説明しています。
販売ページの表示で気をつけること(景品表示法)
景品表示法は、品質を実際より著しく優良に見せる表示や、取引条件を著しく有利に見せる表示を禁じており、根拠のない性能表示は大きなリスクになります。
景品表示法第5条第1号は、商品の品質や規格について、実際のものや他社のものより著しく優良であると示す表示(優良誤認表示)を、第2号は価格などの取引条件を著しく有利と誤認させる表示(有利誤認表示)を禁じています。
さらに同法第7条第2項により、消費者庁は優良誤認に当たるかを判断するため、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、資料が出せなければ優良誤認表示とみなされます。カー用品の販売ページでは、次のような表示に根拠を用意しておきます。
| よくある表示 | 用意しておきたい根拠 |
|---|---|
| 「耐熱〇℃」「耐候性に優れる」 | 工場の試験成績書(試験の方法と条件) |
| 「耐荷重〇kg」 | 耐荷重試験の条件と結果 |
| 「純正同等の品質」 | 何をどう比べたかの資料。根拠がなければ使わない |
| 「においが少ない」 | 比較の方法と結果。主観だけなら書き方を控える |
| 「〇〇車にぴったり」 | 実車での適合確認の記録 |
工場の資料に書かれた数値をそのまま載せる場合も、その数値がどの試験で得られたものかを確認しておきます。根拠を確かめられない表示は、使わないのが安全です。
レビューと広告の関係
消費者庁は、令和5年10月1日からステルスマーケティングが景品表示法違反になると案内しています。事業者が依頼したレビューや紹介投稿を、事業者の広告だとわからない形で載せることは避けます。モニターに商品を提供して投稿をお願いする場合は、広告であることがわかる表示をしてもらう運用にしておきます。
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通信販売の表示と返品のルール(特定商取引法)
ネット販売は特定商取引法の「通信販売」に当たり、広告に表示すべき事項と、返品(申込みの撤回等)のルールが定められています。
特定商取引法第11条は、通信販売の広告に、販売価格(送料が別ならその額)、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、申込みの撤回や解除に関する事項(返品の特約がある場合はその内容)などを表示するよう定めています。
同法第15条の3は、商品の引渡しを受けた日から8日を経過するまでは、購入者が申込みの撤回等をできると定めています。ただし、販売業者が返品についての特約を広告に表示していた場合はこの限りではありません(電子消費者契約などでは、広告以外の方法での表示も求められます)。撤回等があった場合の返品の費用は購入者の負担とされています。
カー用品では、次のような返品の条件を、販売ページの見やすい位置にまとめて書いておくのが一般的です。
- 未開封・未使用の場合の返品の可否と期限
- 取付後や、取付のためにテープを貼った後の返品の扱い
- 適合の誤りによる返品の扱い(購入者の車種の確認不足か、表示の誤りか)
- 初期不良の場合の交換・返金の手順と送料の負担
また同法第12条は、通信販売の広告で、商品の性能などについて著しく事実に相違する表示や、実際より著しく優良・有利と誤認させる表示を禁じています。
適合表示で返品を減らす
カー用品のネット販売で起きやすい返品の理由の一つが「車に合わなかった」で、型式・年式と「適合しない条件」をはっきり示すことが一番の対策です。
販売ページの適合表示では、車名だけでなく、車検証の型式欄で照合できる型式、年式の範囲、ハンドル位置やグレード、オプションによる条件を示します。特に大切なのは、「この条件の車には付けられません」という否定の条件を書くことです。
| 表示する項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 適合型式 | 車検証の型式欄の表記をすべて列挙 |
| 年式 | 初度登録の年月の範囲(マイナーチェンジ前後を分ける) |
| 条件 | ハンドル位置、グレード、駆動方式 |
| 適合しない条件 | 「ルーフレール付きは不可」「床下収納付きは不可」など |
| 確認のお願い | 購入前に車検証の型式を確認するよう案内 |
購入前に型式を問い合わせできる窓口を用意しておくと、誤購入を防げます。適合表の作り方と、工場の車種リストを日本の型式に置き換える方法はカー用品の車種適合と金型|年式・型式と費用で詳しく説明しています。
外装品は保安基準の確認を案内する
ドアバイザー、マッドガード、ボンネットガード、サイドステップ、ルーフラックのような外装品は、取り付けた状態で道路運送車両の保安基準に適合していることが前提です。保安基準第18条第1項第2号は、車体の外形について「鋭い突起がないこと」などを求めています。個々の製品と車両の組み合わせで車検に通るかは販売者が断定しにくいため、販売ページには「取付後は保安基準への適合を確認してください」と書き、判断に迷う購入者には整備事業者への相談をすすめます。品目ごとの考え方はマッドガード(泥除け)OEM|素材と取付の確認点やボンネットガードOEM|材質・取付・年式の確認で解説しています。
取扱説明書と警告表示
取扱説明書は、正しい取付と使い方を伝える資料であると同時に、誤った使い方による事故を防ぎ、販売者の責任を考えるうえでも重要な資料です。
海外の工場が用意する説明書は、英語や現地語だけのことが多く、日本の車種に合わない図が使われていることもあります。日本で販売する場合は、日本語の説明書を自社で作るか、工場に日本語版を作ってもらい、内容を確認します。
説明書に入れたい内容は次のとおりです。
- 適合する車種・型式・年式と、適合しない条件
- 部品の一覧(付属のビス・クリップ・ブラケットの数)
- 取付前の準備(脱脂など)と取付手順の図
- 使用中の点検(緩み、はがれ、劣化の確認)を促す注意書き
- 耐荷重など使用条件の上限と、超えた場合の危険
- 問い合わせ先
フロアマットのように運転操作に関わる用品では、固定方法とペダルへの干渉の確認を目立つ位置に書きます。マット類の固定の考え方はフロアマットOEM|海外工場で作る手順と注意点で解説しています。
梱包・写真・バーコードの準備
ネット販売では、届いたときに壊れていない梱包と、購入前に適合と中身がわかる写真が、返品と問い合わせを大きく減らします。
工場と量産の仕様を決めるときに、ネット販売向けとして次の点もあわせて決めておきます。
- 梱包:割れやすい樹脂の板物は保護フィルムと緩衝材、立体成形品は折り目が残らない入れ方、長尺物は角の保護
- 箱の大きさ:国内の配送の大きさ・重さの区分を超えない寸法
- 商品ラベル:品番、適合型式、自社ブランド名、問い合わせ先
- バーコード:販売先のモールや取引先が求めるコードを、工場で印刷するか国内で貼るか
- 写真:取付前後、付属品一式、取付部の拡大、適合しない例
写真は、工場から受け取った画像をそのまま使わず、日本仕様の実車に取り付けた状態で撮り直すと、購入者が自分の車に合うかを判断しやすくなります。
販売開始までの流れ
製品の仕様と同時に、販売ページ・説明書・梱包・返品条件を決め、根拠資料をそろえてから販売を始めるのが安全です。
- 品目と車種を決め、工場と品質基準・検品方法を書面で決める
- 試験成績書や実車確認の記録など、表示の根拠をそろえる
- 適合表、日本語の説明書、警告表示を作る
- ネット販売向けの梱包・ラベル・バーコードを工場と決める
- 特定商取引法の表示と返品の条件を販売ページに載せる
- 販売開始後は、問い合わせと返品の理由を記録し、適合表と説明書を直す
Sunshoができること
Sunsho Tradeは工場を持たない商社です。台湾・タイ・マレーシアの工場とのやりとりを日本語で代行し、既製品の仕入れと自社ブランドのOEMを手配します。ドアバイザーとマット類は供給できる工場を確保しており、それ以外の品目は仕様に合う工場を探します。
ネット販売向けには、梱包・ラベル・説明書の仕様の取り決め、試験成績書の取り寄せ、検品の段取りまでお手伝いします。法令の判断が必要な表示については、専門家への確認もあわせておすすめしています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 輸入は商社に任せて、自社ブランドで売るだけでも責任を負いますか?
負う可能性があります。製造物責任法第2条第3項第2号は、製造業者として自社の氏名・商号・商標などを製品に表示した者も「製造業者等」に含めています。品質の取り決めと検品記録、PL保険の検討をおすすめします。
Q2. 工場の資料に書かれた耐熱温度を、そのまま販売ページに載せてよいですか?
その数値がどの試験の方法と条件で得られたかを確認してから載せてください。景品表示法では、優良誤認に当たるかの判断のため、表示の裏付けとなる合理的な根拠の資料の提出を求められることがあります。
Q3. カー用品の返品を受け付けない設定にできますか?
特定商取引法第15条の3では、返品についての特約を広告に表示していれば、引渡しから8日以内の申込みの撤回等のルールは適用されません。ただし表示の方法にも決まりがあるため、販売先のモールの規約とあわせて確認してください。
Q4. 「車検対応」と書いてもよいですか?
個々の製品と車両の組み合わせで車検に通るかは断定しにくく、根拠なく書くと表示のトラブルにつながります。根拠を確かめられない場合は、「取付後は保安基準への適合を確認してください」と案内する方が安全です。
Q5. 適合の問い合わせを減らす方法はありますか?
車検証の型式欄で照合できる型式、年式の範囲、適合しない条件を販売ページに明記することが基本です。日本仕様の実車に取り付けた写真を載せ、問い合わせと返品の理由を記録して適合表を直していくと、少しずつ減っていきます。
まとめ
カー用品を日本でネット販売するときは、輸入者や自社ブランドの表示者として製造物責任を負う可能性を前提に、品質の取り決めと記録を整えておくことが出発点です。販売ページの性能表示には根拠を用意し、特定商取引法の表示と返品の条件をわかりやすく載せます。
返品を減らす一番の対策は、型式・年式と適合しない条件を明記した適合表示です。日本語の説明書、ネット販売向けの梱包と写真まで、量産の前に工場と決めておきましょう。
💬 ネット販売向けのカー用品の調達は、Sunshoにご相談ください。 サービスの詳細はカー用品OEM・仕入れサービス、ご相談はお問合せフォーム・LINEからどうぞ。
参考(2026年10月24日確認)
- 製造物責任法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/406AC0000000085
- 不当景品類及び不当表示防止法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/
- 特定商取引に関する法律(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057
- 道路運送車両の保安基準 第18条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800067