コエンザイムQ10は、日本で「エイジングケア」をテーマにしたサプリの定番成分です。体内でも作られる脂に溶けやすい成分で、年齢とともに気になる成分として売り場に定着しています。酸化型と還元型の2種類の原料があり、ソフトカプセルを中心に、ほかの成分と組み合わせた商品も多く見られます。

本記事では、コエンザイムQ10サプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、日本での扱い、いわゆる健康食品として売る場合の表示、剤形と配合の決め方を整理します。コエンザイムQ10は、医薬品の成分として承認されている成分でもあります。医薬品としての用量と、食品として販売するときの考え方を知っておくと、1日量と表示の決め方で迷いにくくなります。

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研究で分かっていること

コエンザイムQ10は、とると血液中の量が上がることは一貫して示されていますが、健康な大人の運動や疲労感への効果は小さく、結果も一貫していません。

試験・レビュー対象結果
系統的レビュー・メタ分析、British Journal of Nutrition 2025(PMID 41457257)健康な大人を対象に、運動のパフォーマンス・主観的な疲労感・血中のコエンザイムQ10を調べた24件(2025年11月までの文献)血中濃度は一貫して上がる。パフォーマンスへの効果は小さく一貫せず、外れ値の研究を除くと安定しない。疲労感が減る可能性は示唆にとどまる。根拠の確実性は非常に低い〜低い
ランダム化クロスオーバー試験、Nutrients 2020(PMID 32188111、PMC7146408)65〜74歳の健康な21人。コエンザイムQ10として100mgを含む3種類の製品を1回ずつ比較水に溶けやすくした製品は酸化型カプセルの2.4倍吸収された。還元型カプセルは1.7倍だったが、統計的な差はない。研究資金の提供元に企業を含む
ランダム化二重盲検クロスオーバー試験、Clinical Pharmacology in Drug Development 2026(PMID 41789786、PMC12965043)健康な12人。共結晶化した還元型のソフトカプセルと、酸化型の製品を空腹時に1回ずつ比較還元型の製品で吸収の指標が約2倍(最高濃度2.20倍、AUC 2.01倍)。少人数の予備的な試験で、資金は原料企業が提供

吸収の研究は、1回飲んだ後の血中濃度を比べたもので、体への効果を調べたものではありません。還元型が有利という結果は、製剤の工夫を加えた特定の製品で出ており、通常の還元型カプセルでは差がはっきりしませんでした。2020年の試験では、酸化型でとっても血液中ではほとんどが還元型として見つかっています。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)

日本での扱い

コエンザイムQ10は、医薬品として承認されている一方、医薬品的な効能効果をうたわなければ食品として使える成分で、厚生労働省は医薬品の用量を踏まえた安全性の確保を求めてきました。

厚生労働省の2005年の発表によると、コエンザイムQ10は「ユビデカレノン」として日本薬局方に収載されています。医薬品としては、心臓に関する効能・効果で、1日30mgの用量で承認されています。

食品としては、厚生労働省の「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(食薬区分の別添2)に、「コエンザイムQ10(ユビキノン)」が例示されています。食品として販売できますが、医薬品のような効能効果をうたうと医薬品とみなされます。

1日あたりの量については、次の経緯があります。

時期内容
2005年8月厚生労働省が、コエンザイムQ10の安全性について食品安全委員会に評価を依頼。健康食品の成分が経口の医薬品にも使われる場合は、医薬品として用いられる量を超えないよう指導していると説明
2005年8月時点の流通1日の推奨量60mgの製品が最も多く、30mgを超える製品が8割以上(2004年の業界団体の調査)。業界団体は、1日の摂取目安量の上限を300mg以下とする案を中間報告
2006年評価結果を受けた厚生労働省の通知(食安新発第0823001号)。医薬品の1日量30mgを超える製品は、企業の責任で健康被害情報の収集などを行い、安全性を確保することとされた

1日30mgを超える量で設計する場合は、販売後に健康被害の情報を集め、対応できる体制を整えておくことが前提になります。配合量を決める前に、根拠とする研究の量と、自社の情報収集の体制をあわせて検討してください。

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

医薬品にも使われる成分だからこそ、コエンザイムQ10サプリでは、心臓や血圧など医薬品的な効能効果を連想させる表示を特に避ける必要があります。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定コエンザイムQ10サプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)「心臓の働きを助ける」「血圧が気になる方に」「疲労回復」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「吸収率〇倍」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1粒に還元型コエンザイムQ10〇mg」(原料と量の事実)「若返る」「老化を止める」
「毎日の健康維持に」(使用場面。全体で効果をうたわない)医薬品としての用途や、医薬品と同じ成分であることを効果の根拠にする表現
原料メーカーの吸収試験の条件を正しく示した説明特定製品の吸収試験の結果を、すべての還元型に当てはまるように見せる表現

コエンザイムQ10の製剤設計

コエンザイムQ10は水に溶けにくく脂に溶けやすいため、油に溶かしたソフトカプセルが基本の剤形です。

剤形選ばれる理由検討すること
ソフトカプセル油に溶かして封入でき、最も一般的皮膜の素材(ゼラチンか植物由来か)と、油の種類
ハードカプセル・錠剤粉末の原料と組み合わせやすい水に分散しやすく加工した原料を選ぶ必要がある
他の脂溶性成分との組み合わせビタミンEやアスタキサンチンなどと同じ油に溶かせる色・におい・安定性の確認

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の種類:酸化型(ユビキノン)と還元型(ユビキノール)があります。還元型は酸化しやすく、原料の扱いや包装に配慮が必要です。原料メーカーに規格と安定性のデータを確認します。
  2. 1日あたりの量:根拠とする研究の量と、医薬品の1日量30mgを超えるかどうかを踏まえて決めます。30mgを超える場合は、健康被害情報の収集体制も検討します。
  3. 溶かし方と原料の加工:結晶の原料をそのまま使うのか、水に分散しやすく加工した原料を使うのかで、剤形の選択肢が変わります。
  4. 包装:光や酸素で劣化しやすいため、遮光のボトルやアルミ包装を検討します。

吸収をうたいたい場合は、原料メーカーの試験がどの製品・どの条件で行われたかを確認します。自社の配合で同じ結果になるとは限らないため、表示には試験の条件をそのまま書くことが大切です。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

コエンザイムQ10自体は食品に使えますが、エイジングケアや元気をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。食薬区分の考え方は食品と医薬品の区分の解説、剤形はソフトカプセルの皮膜の解説、組み合わせる成分はアスタキサンチンやNMNの成分ガイドも参考にしてください。

見積もりの前に決めておくこと

原料の種類、1日あたりの量、剤形と皮膜、組み合わせる成分、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • コエンザイムQ10の種類(酸化型か還元型か)と、1日あたりの量
  • 剤形と、ソフトカプセルの場合は皮膜の素材と油の種類
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形(遮光・酸素対策)
  • 1日30mgを超える場合の、健康被害情報の収集体制
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

原料の種類で原料費と包装の仕様が変わるため、酸化型か還元型かは早めに決めておくと進めやすくなります。

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よくある質問(FAQ)

還元型のほうが、酸化型より吸収がよいのですか?

一概には言えません。共結晶化した還元型の製品では約2倍という結果がありますが、高齢者で通常のカプセルを比べた試験では統計的な差がありませんでした。製剤の工夫や対象者によって結果が変わります。

コエンザイムQ10は医薬品ではないのですか?

医薬品としても承認されていますが、医薬品的な効能効果をうたわなければ食品として使える成分として、厚生労働省のリストに例示されています。食品として売るときは、医薬品的な表現を避けることが前提です。

1日に何mgまで配合できますか?

厚生労働省は、医薬品の1日量30mgを超える製品について、企業の責任で健康被害情報を集めて安全性を確保することを求めています。2005年には、業界団体が1日300mg以下とする案を報告しました。研究の量と体制をあわせて決めます。

コエンザイムQ10で疲れにくくなると書けますか?

書けません。いわゆる健康食品で疲労の回復をうたうと、医薬品的な効能効果とみなされるおそれがあります。研究でも、健康な大人の疲労感やパフォーマンスへの効果は小さく、一貫していません。

なぜソフトカプセルが多いのですか?

水に溶けにくく脂に溶けやすい成分なので、油に溶かして封入できるソフトカプセルが最も扱いやすいためです。ハードカプセルや錠剤にする場合は、水に分散しやすく加工した原料を使います。

参考

  • Deng H, et al. “Coenzyme Q10 supplementation increases blood concentrations but shows limited and inconsistent effects on exercise performance: a systematic review and meta-analysis”, British Journal of Nutrition 2025, PMID 41457257, doi 10.1017/S0007114525106211
  • Pravst I, et al. “Comparative Bioavailability of Different Coenzyme Q10 Formulations in Healthy Elderly Individuals”, Nutrients 2020, PMID 32188111, PMC7146408, doi 10.3390/nu12030784
  • Mei X, et al. “A Randomized, Double-Blind, Two-Treatment, Two-Period, Crossover Study Investigating the Systemic Bioavailability of a Novel Cocrystal Ubiquinol Formulation Compared with a Ubiquinone Formulation in Healthy Adults”, Clinical Pharmacology in Drug Development 2026, PMID 41789786, PMC12965043, doi 10.1002/cpdd.70042
  • 厚生労働省「コエンザイムQ10の安全性に関する食品安全委員会への食品健康影響評価の依頼について」(平成17年8月22日) https://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/08/h0822-1.html
  • 厚生労働省「コエンザイムQ10含有食品に関する販売後調査の概要について」(平成20年4月 審議会参考資料) https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/04/dl/s0423-8f.pdf
  • 厚生労働省「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(食薬区分 別添2、2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734639.pdf
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月12日確認)