グルタチオンは、海外では美容を意識したサプリの成分として広く売られています。海外の通販サイトで見かけた商品をもとに、同じようなサプリを日本で作りたいという相談も少なくありません。

結論から言うと、日本ではグルタチオンを成分として配合したサプリは作れません。厚生労働省の「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に載っているためです。本記事では、日本での扱いの根拠、グルタチオンを天然に含む酵母を使う場合の条件、代わりに検討できる食品素材を説明します。

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結論:日本での扱い

グルタチオンと還元型グルタチオンは、どちらも厚生労働省の専ら医薬品リスト(別添1)に載っており、食品の原材料として配合できません。

食品か医薬品かを分ける「食薬区分」では、成分ごとの扱いが2つのリストで示されています。別添1「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」は2026年8月5日に更新されています。その「その他(化学物質等)」の欄に、グルタチオンと還元型グルタチオンが並んで載っています。

成分・原材料リスト食品に使えるか
グルタチオン別添1(専ら医薬品)使えない
還元型グルタチオン別添1(専ら医薬品)使えない
酵母(菌体)別添2(医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない)使える。ただしグルタチオンの含有を強調すると、専ら医薬品成分を含む製品と判断される

46通知の判定方法では、別添1の成分を配合した物は、効能効果・形状・用法用量にかかわらず、原則として医薬品の範囲とされます。表示を控えめにしても、量を少なくしても、グルタチオンを配合した時点で食品としては作れません。

海外での扱いとの違い

米国では、グルタチオンを一般の食品に使う届出に対して、FDAが2009年に「質問なし」と回答した例があり、日本とは扱いが大きく異なります。

米国FDAのGRAS届出の記録(GRN No. 293)では、日本企業が届け出たグルタチオンについて、焼き菓子や飲料など幅広い食品への使用が示されています。FDAは2009年12月に「FDA has no questions」と回答して手続きを終えています。

国・地域グルタチオンの扱い(確認できた範囲)
日本専ら医薬品リスト(別添1)に掲載。食品に配合できない
米国一般の食品への使用についてGRAS届出があり、FDAは「質問なし」と回答(2009年)

海外で食品として売られていることは、日本で食品として作れる理由になりません。日本の工場は日本の法律のもとで製造するため、海外の商品と同じ配合はそのまま再現できません。

なぜ日本ではこの扱いなのか

グルタチオンは日本で医療用医薬品の有効成分として使われており、専ら医薬品の成分の例として別添1に掲げられています。

46通知の別添「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いについて」は、専ら医薬品の成分の考え方の1つ目に「専ら医薬品としての使用実態のある物」を挙げています。日本では、グルタチオンを有効成分とする医療用医薬品の内服錠や注射剤が承認されています。

厚生労働省は、個々の成分を別添1に入れた理由を通知の中で説明していません。言えるのは、グルタチオンが医薬品として使われている成分であり、別添1に例示として掲げられているという事実です。

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グルタチオンを天然に含む酵母の扱い

グルタチオンを天然に含む酵母が主原料の食品は、厚生労働省の示す条件を満たせば、枠外にグルタチオンの量を書いても強調とは判断されません。

厚生労働省の監視指導・麻薬対策課は、平成28年9月16日の事務連絡「「専ら医薬品成分」の強調的標ぼうに係る判断事例について」で、考え方を示しています。専ら医薬品成分を天然に含む食品でも、その成分の含有を強調すれば、専ら医薬品成分を含む製品として判断されます。

事務連絡が対象とするのは、グルタチオンを天然に含む酵母などを主な原材料とする製品です。食品添加物として専ら医薬品成分を加えた食品は対象外です。栄養成分表示の枠外に書く場合、次のすべてを満たせば強調的な標ぼうとは判断しないとされています。

  1. 含有する成分が複数書かれていること
  2. 専ら医薬品成分だけの記載ではないこと
  3. 書かれた含有成分の字体・色・文字の大きさなどが同じであること
  4. 栄養成分表示と比べて、字体・色・文字の大きさなどが強調されていないこと
  5. 栄養成分表示の直下か隣に置き、栄養成分表示より目立つ位置でないこと

事務連絡は、記載例として「グルタチオン○mg」を示し、「グルタチオン(酵母由来)」と書くことも差し支えないとしています。一方で、容器の表示が条件を満たしていても、広告でグルタチオンを強調すれば、専ら医薬品成分を含む製品として判断されます。

酵母の食品は、あくまで酵母を食べる製品です。グルタチオンを主役にした商品名、キャッチコピー、販売ページは作れないと考えてください。記載例以外の表示は個別の判断が必要とされているため、都道府県の薬務担当課に事前に確認します。

代わりに検討できる食品素材

美容を意識したサプリには、日本で食品に使え、肌に関する研究や機能性表示食品の届出がある素材がいくつかあります。

どの素材もグルタチオンとは働き方が違い、グルタチオンの代わりになると説明することはできません。研究の現状も素材ごとに異なるため、各ガイドで正直に整理しています。

素材日本での主な使い方研究の現状(各ガイドの要約)
ビタミンC栄養機能食品として、国が定めた文言で機能を表示できる(2026年10月の改正で文言が変わった)大規模なレビューでは、一般の人への効果は小さいか確認されていない
セラミド機能性表示食品で、肌の水分を保つ趣旨の届出があるメタ解析で効果はあるが小さく、試験ごとのばらつきが大きい
コラーゲンペプチド機能性表示食品で、肌の水分量や弾力に関する届出がある肯定的なメタ解析がある一方、資金提供のない試験では効果なしとの解析もある
ヒアルロン酸機能性表示食品で、肌の水分を保つ趣旨の届出がある小規模な試験が中心で、原料メーカーが関わる試験が多い
アスタキサンチン機能性表示食品で、紫外線を浴びた肌の潤いに関する届出がある肌の水分量は解析で結果が分かれ、しわでは差がない

アミノ酸のL-シスチンも、別添2に載っている食品に使える素材です。ただし、いわゆる健康食品として売る場合、どの素材でも「美白」「しみが消える」といった表現は使えません。肌の明るさや色をうたう表現は、医薬品や医薬部外品の効能効果にあたるおそれがあります。

見積もり・相談の前に決めておくこと

グルタチオンを使わない前提で、目指す製品の方向性と販売方法が決まっていれば、代わりの設計と見積もりを同時に進められます。

  • 製品で伝えたいこと(肌のうるおい、日々の栄養補給など、食品として表示できる範囲)
  • 機能性表示食品として届け出るか、いわゆる健康食品として売るか
  • 配合したい成分の一覧と、原料の規格書
  • 酵母を使う場合は、商品名・パッケージ・販売ページで使いたい言葉
  • 剤形(錠剤、カプセル、粉末など)と1日あたりの摂取目安
  • 参考にしている海外商品の全成分表示

参考にしている海外商品の成分表があると、日本で使えない成分を早い段階で見つけられます。

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よくある質問(FAQ)

海外で個人輸入されているグルタチオンサプリと同じものを、日本で作れますか?

作れません。グルタチオンは専ら医薬品リスト(別添1)に載っているため、配合した時点で原則として医薬品の範囲になります。海外で食品として売られていても、日本の工場で食品として製造することはできません。

配合量を少なくすれば、食品として作れますか?

作れません。46通知の判定方法では、別添1の成分を配合した物は、効能効果・形状・用法用量にかかわらず原則として医薬品の範囲とされます。量の大小で扱いは変わりません。

海外の工場で作って輸入すれば、日本で食品として売れますか?

売れません。日本国内で販売する以上、輸入品にも薬機法と食薬区分が同じように適用されます。グルタチオンを配合した製品は、医薬品としての承認と許可がなければ販売できません。

グルタチオン含有酵母のサプリなら作れますか?

酵母は別添2に載っており、食品の原材料として使えます。ただし、グルタチオンの含有を強調すると専ら医薬品成分を含む製品と判断されます。表示は平成28年の事務連絡の条件に沿う必要があり、広告での強調も認められていません。

化粧品にグルタチオンを使えば、同じブランドで展開できますか?

化粧品は本記事の対象外で、食品とは別の法律の枠組みで判断されます。化粧品の配合や表示は、化粧品の製造販売業者に別途確認してください。

参考

  • 厚生労働省「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」別添1「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」(2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734637.pdf
  • 厚生労働省 同 別添2「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734639.pdf
  • 厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日 薬発第476号)別紙「医薬品の範囲に関する基準」および別添「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いについて」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6938&dataType=1&pageNo=1
  • 厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 事務連絡「「専ら医薬品成分」の強調的標ぼうに係る判断事例について」(平成28年9月16日)
  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品の添付文書情報(グルタチオン製剤) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
  • U.S. Food and Drug Administration, GRAS Notices, GRN No. 293 Glutathione(2009年12月22日 回答)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145

(2026年10月18日確認)