HMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)は、アミノ酸のロイシンから体内で作られる成分です。日本ではトレーニングを習慣にする人向けのスポーツサプリと、年齢とともに筋力が気になる中高年向けの商品の両方で使われています。

本記事では、HMBサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、機能性表示食品として届け出る場合といわゆる健康食品として売る場合の表示、剤形と配合の決め方を整理します。HMBの研究は、対象者によって結果がはっきり分かれます。どの対象者に向けた商品かを先に決めておくと、HMBサプリの表示と広告の言葉選びで失敗しにくくなります。

💬 HMBサプリの企画をお考えですか? 配合の確認から、日本国内のGMP認証を取得した提携工場での製造までご相談いただけます。詳しくはサプリメントOEMをご覧ください。

研究で分かっていること

HMBは、高齢者や体を動かせない期間の研究で小さな良い結果が報告される一方、すでに鍛えている競技者や若い成人では、トレーニングへの上乗せが見られていません。

試験・レビュー対象結果
ランダム化二重盲検比較試験、Clinical Nutrition 2013(PMID 23514626)60〜76歳の健康な高齢者24人。10日間の安静臥床の間、HMBカルシウム1日3gまたはプラセボ。評価できたのは19人プラセボ群は除脂肪量が平均2.05kg減った。HMB群は1人を除いた解析で0.17kgの減少にとどまり、群の間に差があった。身体機能の差は見られず、著者は大きな試験での確認が必要としている
系統的レビュー・メタ分析、Nutrients 2025(PMID 41305674、PMC12655442)高齢者を対象に、筋力トレーニングとHMBの併用を、筋力トレーニングのみと比べた10件(596人)握力にわずかな差(統計的に境界線上)、身体機能の総合点に中程度の差。歩行速度、手足の除脂肪量、脂肪量、体重には差がなかった。10件のうち5件はバイアスのリスクが高い
メタ分析、Journal of Science and Medicine in Sport 2018(PMID 29249685)トレーニングを積んだ競技者を対象にしたランダム化比較試験6件(193人)ベンチプレス・レッグプレスの筋力、体重、除脂肪量、脂肪量のいずれにも効果は見られなかった。量や期間、トレーニングの水準で分けても同じ
系統的レビュー・メタ分析、Nutrients 2020(PMID 32456217、PMC7285233)筋力トレーニング中の18〜45歳の成人。11件を解析(体組成302人、筋力248人)体重はわずかに増えたが、除脂肪量、筋力、脂肪量には差がなかった。著者は、体組成や筋力を目的とした利用を支持しないと結論

研究の範囲として、次の点を押さえておく必要があります。

  • 対象者による違い:良い結果は、高齢者や安静臥床のように筋肉が落ちやすい条件の研究で出ています。
  • 結果の大きさ:高齢者のメタ分析でも、差は小さいか境界線上で、半数の試験はバイアスのリスクが高いと評価されています。
  • 人数の少なさ:安静臥床の試験は評価できた人が19人で、身体機能の差は確かめられていません。

高齢者で得られた結果を、競技者の筋力の話に置き換えることはできません。商品の対象者と、根拠にする研究の対象者をそろえて考えることが大切です。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)

機能性表示食品として届け出る場合

HMBカルシウムは、軽い運動との併用で日常生活に必要な筋力の維持に役立つ、という趣旨の表示で機能性表示食品に使われています。

機能性表示食品は、届出者が自らの責任で、機能性の科学的根拠と安全性の情報を販売前に消費者庁へ届け出る制度です。国の審査や許可ではありません。表示できるのは届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。

HMBカルシウムの届出の例では、ウォーキングなどの軽い運動との併用が前提です。そのうえで、歩く・立つ・家事などに必要な筋力の維持・低下抑制に役立つ、という趣旨の表示がされています。この例の1日あたりの量は、HMBカルシウム1.5gです。運動との併用が前提になっている点と、日常生活の動作に絞った表現になっている点が特徴です。

2024年の制度改正で、サプリメント形状の機能性表示食品は、GMP(製造工程管理の基準)に基づく製造管理が届出者の義務となりました。2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を報告することも、届出者の義務です。

HMBで機能性表示食品を目指すときに決めることは、主に次の3つです。

  • 根拠の取り方:既存の研究をまとめた研究レビューを使うか、最終製品で臨床試験を行うか
  • 関与成分の量と形:根拠とする研究で使われたHMBの形と1日あたりの量に合わせる
  • 対象者の書き方:根拠の研究の対象者と、商品で想定する対象者をそろえる

💬 HMBを届出で売るか、いわゆる健康食品で売るか迷っている方へ。 想定する対象者と配合を伺い、製造の段取りまでご提案します。お問合せフォーム、またはLINEからどうぞ。

いわゆる健康食品として売る場合の表示

機能性表示食品として届け出ない健康食品は、筋肉や筋力への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定HMBサプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)食品なのに「筋肉が増える」「筋力の衰えを防ぐ」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「プロも愛用」「No.1」、体型の変化を示す写真などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1日5粒でHMBカルシウム〇mg」(量の事実)「飲むだけで筋肉がつく」「筋力アップ」
「トレーニングを続ける方の毎日の習慣に」(使用場面)加齢による筋肉の病気や、寝たきりなどを挙げた表現
機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内)「臨床で実証済み」など、研究の対象者と限界を示さない表現

HMBの製剤設計

HMBはグラム単位で配合する成分のため、1日分の粒数と飲みやすさのバランスが、剤形選びの中心になります。

剤形選ばれる理由検討すること
錠剤1粒あたりの配合量を多くしやすく、持ち運びやすい1日分の粒数と粒の大きさ
ハードカプセル味がなく、他の成分と組み合わせやすい錠剤より1粒に入る量が少なく、粒数が増えやすい
粉末スティック1回でグラム単位の量をとりやすい味と溶けやすさ、プロテインなどとの組み合わせ

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の形:HMBにはカルシウム塩と遊離酸の形があります。16人の若い成人に1gを1回ずつ飲んでもらった2024年の試験では、カルシウム塩の方が血中に多く取り込まれました。ただし小さな試験のため、原料メーカーの資料もあわせて確認します。
  2. 1日あたりの量:研究では1日3gが多く使われ、届出の例では1日1.5gでした。根拠にする研究や届出の量と合わせます。
  3. 組み合わせる成分:プロテイン、クレアチン、ビタミンDなどと組み合わせることがよくあります。ビタミンDは栄養機能食品の対象成分で、表示の決まりがあります。
  4. 包装:粒数が多い商品では、1日分ずつ分けたパウチや、乾燥剤を入れたボトルを検討します。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

HMBは、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に例示されています。化学物質等の項に「ビス-3-ヒドロキシ-3-メチルブチレートモノハイドレート」(別名HMB)として載っています。スポーツや中高年向けの配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。

運動をテーマにした成分は、クレアチン、BCAA・EAA、プロテインのガイドでも扱っています。研究の読み方はGABAのガイドも参考になります。

見積もりの前に決めておくこと

HMBの形と量、剤形、想定する対象者、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • HMBの形(カルシウム塩か遊離酸か)と、1日あたりの量
  • 剤形と、1日分の粒数(スティックの場合は味)
  • 想定する対象者(トレーニングをする人か、中高年か)
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

💬 HMBサプリの製品化をご検討中の方は、Sunshoにご相談ください。 対象者・配合・剤形を伺い、日本国内のGMP認証を取得した提携工場での製造をご提案します。お問合せフォーム・LINEから。

よくある質問(FAQ)

HMBは、鍛えている人の筋力を高めますか?

研究では支持されていません。2018年のメタ分析は、トレーニングを積んだ競技者で筋力と体組成に効果を認めず、2020年の若い成人のメタ分析も同じ結論でした。競技者向けの商品では、筋力への効果をうたわないことが大切です。

高齢者を対象にした研究の結果はどうですか?

10日間の安静臥床の試験では、HMB群で除脂肪量の減少が小さく抑えられました。2025年のメタ分析では、筋力トレーニングとの併用で握力と身体機能に小さな差が見られましたが、半数の試験はバイアスのリスクが高いと評価されています。

機能性表示食品にしないHMBサプリでも、筋力と書けますか?

いわゆる健康食品では、筋肉や筋力への効果をうたう表現は避ける必要があります。量や原料の事実、使用場面の表現を中心にし、全体として効果をうたう表示になっていないかを確認してください。

HMBの1日あたりの量はどのくらいですか?

研究では1日3gが多く使われています。HMBカルシウムの届出の例では、1日1.5gでした。根拠にする研究や届出の量に合わせて決めます。

HMBに向いている剤形は何ですか?

錠剤が多く、ハードカプセルや粉末スティックも使われます。グラム単位で配合するため、1日分の粒数が多くなりすぎないかを最初に確認します。

参考

  • “Effect of β-hydroxy-β-methylbutyrate (HMB) on lean body mass during 10 days of bed rest in older adults”, Clinical Nutrition 2013, PMID 23514626
  • “The Role of HMB Supplementation in Enhancing the Effects of Resistance Training in Older Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis on Muscle Quality, Body Composition, and Physical Function”, Nutrients 2025, PMID 41305674, PMC12655442
  • “Effects of beta-hydroxy-beta-methylbutyrate supplementation on strength and body composition in trained and competitive athletes: A meta-analysis of randomized controlled trials”, Journal of Science and Medicine in Sport 2018, PMID 29249685
  • “Supplementation with the Leucine Metabolite β-hydroxy-β-methylbutyrate (HMB) does not Improve Resistance Exercise-Induced Changes in Body Composition or Strength in Young Subjects: A Systematic Review and Meta-Analysis”, Nutrients 2020, PMID 32456217, PMC7285233
  • “Superior bioavailability of the calcium salt form of β-hydroxy-β-methylbutyrate compared with the free acid form”, Amino Acids 2024, PMID 38564019, PMC10987370
  • 厚生労働省「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」(別添2、2026年8月5日更新) https://www.mhlw.go.jp/content/001734639.pdf
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 消費者庁「機能性表示食品について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月12日確認)