プロテインは、トレーニングを習慣にする人に最も身近なスポーツサプリです。ジムやEC、パーソナルトレーニングの店舗などで、自社ブランドのプロテインを扱いたいという相談も増えています。乳から作るホエイと、大豆から作るソイを両方そろえたいという声もよく聞かれます。
本記事は、ホエイとソイのプロテインサプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けた成分ガイドです。研究で分かっていること、日本での扱いとアレルゲン表示、剤形と配合の決め方を整理します。プロテインは食品として広く売られている一方で、ホエイとソイのどちらが優れているかは、研究の間でも結論が分かれています。その点を知っておくと、表示と広告の言葉選びで失敗しにくくなります。
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研究で分かっていること
国際スポーツ栄養学会は運動する人のたんぱく質の摂り方の目安を示しており、ホエイとソイの比較では、メタ解析の間で結果が分かれています。
| 試験・レビュー | 対象 | 結果 |
|---|---|---|
| 国際スポーツ栄養学会(ISSN)の公式見解、Journal of the International Society of Sports Nutrition 2017(PubMed 28642676、PMC5477153) | 運動する健康な人のたんぱく質摂取に関する研究の総説 | 筋肉を増やす・保つには、1日に体重1kgあたり1.4〜2.0gのたんぱく質で多くの人に十分とした。1回の目安は体重1kgあたり0.25g、または20〜40g |
| 系統的レビューとメタ解析、Journal of Dietary Supplements 2026(PubMed 41454445) | 筋力トレーニングを行う18〜30歳の若い成人を対象にした12件の試験(261人) | ホエイもソイも除脂肪量に有意な影響はなかった。ホエイではベンチプレスとスクワットの成績が有意に向上した |
| メタ解析、International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism 2018(PubMed 29722584) | 筋力トレーニング中の9件の試験(266人)。5件はホエイとソイを直接比較 | ホエイでもソイでも筋力は有意に増えたが、両者の差はなかった。除脂肪量の変化にも差はなかった |
研究の範囲として、次の点を押さえておく必要があります。
- 結果の食い違い:2026年のメタ解析は筋力でホエイの効果を示し、2018年のメタ解析はホエイとソイに差がないとしました。集めた試験の数と組み合わせが違います。
- 対象者と人数:どちらのメタ解析も試験は12件と9件で、若い成人や健康な人が中心です。高齢の方や運動習慣の違う方に、そのまま当てはめることはできません。
- 短期と長期の違い:2018年のメタ解析は、短期の試験ではホエイのほうが筋たんぱく質の合成を高めるとしています。ただし、長期の試験では筋力や除脂肪量の差は見られませんでした。
2026年のメタ解析自身も、確かな結論のためには、より大規模で質の高い試験が必要だとしています。
(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)
日本での扱い
たんぱく質は栄養機能食品の対象ではないため、プロテインはいわゆる健康食品として、量と原料の事実を中心に表示するのが一般的です。
栄養機能食品は、国が定めたビタミン・ミネラルなど20の栄養成分に限って、決められた機能を表示できる制度です。たんぱく質はこの20成分に入っていないため、栄養機能食品として機能を表示することはできません。
プロテインの表示で中心になるのは、次の3つです。
- 栄養成分表示:たんぱく質は、食品表示基準で表示が義務づけられた栄養成分の一つです。1杯あたりのたんぱく質の量を、正確に示します。
- 強調表示:「たんぱく質が多い」などと強調する表示には、食品表示基準の別表第十二に基準値があります。基準を満たすかを、配合の段階で計算しておきます。
- 機能性表示食品:身体への機能を表示したい場合は、届出者が自らの責任で科学的根拠を消費者庁に届け出る方法があります。国の審査や許可ではありません。
乳と大豆のアレルゲン表示
ホエイは乳から作られる原料のため、「乳成分を含む」旨の表示が必要です。乳は、食品表示基準で表示が義務づけられた特定原材料(現在9品目)の一つです。
大豆は、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」(20品目)に入っています。義務ではありませんが、ソイプロテインでは大豆を表示するのが一般的です。ホエイとソイを同じ工場で作る場合は、製造ラインでの混入と注意喚起表示も工場と確認します。詳しくはサプリのアレルゲン表示の記事で解説しています。
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いわゆる健康食品として売る場合の表示
機能性表示食品として届け出ないプロテインは、筋肉や体型への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。
健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。
| 法律 | かかわる規定 | プロテインで注意すること |
|---|---|---|
| 医薬品医療機器等法(薬機法) | 承認前の医薬品の広告の禁止(第68条) | 食品なのに「筋肉がつく」「体を引き締める」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある |
| 健康増進法 | 誇大表示の禁止(第65条) | 健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない |
| 景品表示法 | 優良誤認表示の禁止 | 根拠のない「プロ選手が愛用」「No.1」などの表示 |
消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。
| 比較的安全な言い方 | 避けるべき言い方 |
|---|---|
| 「1杯(30g)あたりたんぱく質20g」(量の事実) | 「飲むだけで筋肉がつく」「〇日で体が変わる」 |
| 「乳由来のホエイ」「大豆由来のソイ」(原料の事実) | 「ソイよりホエイのほうが筋肉がつく」など、結論の分かれる比較の断定 |
| 「トレーニング後のたんぱく質補給に」(使用場面) | アレルゲン表示を目立たなくする、省くなどの表示 |
プロテインの製剤設計
プロテインは1回に十数グラム以上を摂る成分のため、カプセルや錠剤ではなく、粉末・飲料・バーが中心になります。
| 剤形 | 選ばれる理由 | 検討すること |
|---|---|---|
| 粉末(袋・ボトル) | 量を調整しやすく、たんぱく質1gあたりの費用を抑えやすい | 味、水や牛乳への溶けやすさ、計量スプーン |
| 個包装の粉末スティック | 1回分ずつ量が決まり、持ち運びやすい | 1本あたりの包装費と、溶かす水の量の表示 |
| 飲料 | すぐ飲める | 加熱殺菌と賞味期間中の、たんぱく質と味の安定性 |
| バー | 外出先で食べやすい | 賞味期間中の食感の変化 |
仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。
- 原料の種類:ホエイにはWPC(濃縮)、WPI(分離)、加水分解したものがあり、たんぱく質の含有率、乳糖の量、価格が違います。ソイにも濃縮と分離があります。原料メーカーの規格書で確認します。
- 1杯あたりのたんぱく質の量:ISSNの公式見解の1回20〜40gなどを参考に、1杯の量と1袋あたりの杯数を決めます。研究を紹介する場合は、その研究の量とそろえます。
- 味と溶けやすさ:ホエイには特有の風味、ソイには豆の風味や粉っぽさがあり、香料と甘味料での調整が必要です。造粒などで溶けやすくする処理も含め、試作で確かめます。
- 組み合わせる成分:クレアチンやアミノ酸、ビタミンを加えることがあります。どの成分も、食品に使えるかの確認が欠かせません。
- 包装:粉末は湿気を防ぐ包装が必要です。チャック付きの袋か、ボトルかで、充填の方法も変わります。
味や甘味料の決め方はサプリの甘味料・香料、スティック包装は粉末スティックの製造の記事も参考になります。
最初に確認すること:食品に使える成分か
日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。
厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。
ホエイとソイは食品に広く使われていますが、スポーツ向けの配合では、海外で売られている植物素材や刺激性の成分が日本では食品に使えないことがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。組み合わせる成分では、クレアチンサプリのOEMとBCAA・EAAサプリのOEMの記事も参考になります。
見積もりの前に決めておくこと
原料の種類、1杯の量、剤形、味、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。
- ホエイかソイか、両方か。原料の種類(WPC・WPIなど)
- 1杯あたりのたんぱく質の量と、1袋あたりの杯数
- 剤形(粉末・スティック・飲料・バー)
- 味の種類と、甘味料の希望
- 組み合わせる成分と、その量
- 包装の形
- 初回の製造数と、年間の見込み数
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よくある質問(FAQ)
ホエイとソイでは、どちらが筋力に良いのですか?
研究の結果が分かれています。2026年のメタ解析はホエイで筋力が向上したとし、2018年のメタ解析はホエイとソイに差はないとしました。どちらも、筋力トレーニングと組み合わせた研究がある原料として説明するのが誠実です。
1杯にどれくらいのたんぱく質を入れればよいですか?
国際スポーツ栄養学会の公式見解は、1回の目安を体重1kgあたり0.25g、または20〜40gとしています。お客様の層と1日の杯数を考えて決め、表示の量と1杯の量をそろえます。
ホエイプロテインにアレルゲン表示は必要ですか?
必要です。ホエイは乳から作られる原料で、乳は表示が義務づけられた特定原材料です。ソイの大豆は表示が推奨される品目で、表示するのが一般的です。
プロテインに「高たんぱく」と書けますか?
たんぱく質が多い旨の表示には、食品表示基準で基準値が決められています。配合の段階で基準を満たすかを計算し、満たす場合に表示します。
プロテインの製造で一番難しいのは何ですか?
味と溶けやすさです。ホエイにもソイにも特有の風味があり、溶け残りやダマは毎日の使い心地を左右します。試作の段階で、実際に溶かす水や牛乳で確かめます。
参考
- “International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise”, Journal of the International Society of Sports Nutrition 2017, PubMed 28642676, PMC5477153
- “The Impact of Whey and Soy Protein Supplementation on Resistance Training in Young Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis”, Journal of Dietary Supplements 2026, PubMed 41454445, doi 10.1080/19390211.2025.2604679
- “No Difference Between the Effects of Supplementing With Soy Protein Versus Animal Protein on Gains in Muscle Mass and Strength in Response to Resistance Exercise”, International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism 2018, PubMed 29722584
- 消費者庁「アレルギー表示について」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/
- 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条・第7条・別表第十一・別表第十二(e-Gov法令検索)
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)
(2026年10月12日確認)