自社ブランドのプロテインパウダーを作るとき、多くの事業者が迷うのは「どの原料を選ぶか」と「どこまで味を作り込むか」です。プロテインは毎日飲むものなので、たんぱく質の量が十分でも、溶け残りや後味が気になると続けてもらえません。

本記事は、日本国内でプロテインパウダーを自社ブランドで売りたい事業者の方に向けた製造ガイドです。日本国内のGMP認証を取得した提携工場でのOEM製造を前提にしています。原料の選び方、味と溶けやすさ、甘味料と香料、包装、栄養成分表示とアレルゲン表示、試作の進め方を順に解説します。ホエイとソイの研究の現状はプロテインサプリのOEM|ホエイとソイの研究で扱っているため、本記事では作り方に絞ります。

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原料の選び方:ホエイ・ソイ・ピー

原料は、たんぱく質の割合、風味、アレルゲン、価格のバランスで選び、原料メーカーの規格書で中身を確かめます。

原料特徴気をつけること
ホエイ WPC(濃縮)乳から作る。乳の風味が残り、味をまとめやすい乳糖や脂質が一定量残る。乳のアレルゲン表示が必要
ホエイ WPI(分離)精製の工程が多く、たんぱく質の割合が高い。乳糖が少ない原料の価格が高めになりやすい。乳のアレルゲン表示が必要
加水分解ホエイたんぱく質をあらかじめ細かく分解したもの苦味が出やすく、味の調整に手間がかかる
ソイ(大豆)植物由来。とろみが出やすい豆の風味や粉っぽさが出やすい。大豆は表示が推奨される品目
ピー(えんどう豆)乳や大豆を避けたい商品で選ばれる独特の風味やざらつきが出やすい。調達先と品質の確認が必要

たんぱく質の割合や乳糖の量は、同じ「WPC」でも原料ごとに違います。数値は商品の訴求に直結するため、必ず原料メーカーの規格書と分析値で確かめます。規格書の読み方はサプリの規格書の見方で解説しています。

ホエイとソイを混ぜる、植物性だけで組み立てる、といった設計もできます。原料を組み合わせると、風味やとろみ、1杯あたりの費用のバランスを調整しやすくなります。

味と溶けやすさの作り込み

プロテインパウダーの満足度は、味と溶けやすさでほぼ決まるため、試作の段階で実際の飲み方に合わせて確かめます。

細かい粉末のたんぱく質は、水に入れると表面だけが濡れてダマになりやすい性質があります。よく使われる対策は、粉末を顆粒にして粒の大きさをそろえる方法と、粒の表面を加工して水になじみやすくする方法です。表面の加工にレシチンを使う場合、大豆や卵黄に由来するものがあるため、アレルゲン表示の確認が必要です。

味は、原料の風味をどこまで隠すかと、どんなフレーバーにするかで決まります。チョコレート、ココア、抹茶、ミルクティーなど、原料の風味と相性のよい方向を選ぶと、香料の量を抑えやすくなります。泡立ちやとろみも飲み心地を左右するため、水と牛乳の両方で試します。

試飲では、シェイカーで振る回数、溶かす水の量、冷たい水か常温かも決めておきます。条件をそろえて比べないと、試作品ごとの差が分かりにくくなります。粉末の流れやすさと充填の関係は顆粒・粉末スティックサプリのOEMで詳しく扱っています。

甘味料と香料の決め方

甘味料と香料は、味の方向性に加えて、添加物の使用基準と表示の書き方まで含めて選びます。

プロテインパウダーでは、砂糖を控えたい要望が多く、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア抽出物などの甘味料がよく検討されます。スクラロースとアセスルファムカリウムには食品ごとの使用基準があり、量に上限があります。添加物は原則として物質名で表示し、甘味料は「甘味料(スクラロース)」のように用途名も併記します。

アスパルテームを使う場合は、「L-フェニルアラニン化合物を含む」旨の表示が必要です。香料は一括名の「香料」で表示できます。甘味料と香料の選び方はサプリの甘味料・香料で詳しく解説しています。

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包装:大袋・ボトル・スティック

包装は、1袋あたりの杯数、売り場、湿気への強さで選び、選んだ包装によって充填の方法と費用が変わります。

包装向いている売り方気をつけること
チャック付きの大袋まとめ買い、EC、定期購入開けるたびに湿気と空気に触れる。計量スプーンを入れるか決める
ボトル・缶店頭での見栄え、ギフト包装の費用が上がりやすい。容器の素材と密閉性を確認する
1回分のスティックお試し、持ち運び、ジムでの販売1本あたりの包装費が上がる。中身の流れが悪いと量がばらつく

プロテインパウダーは湿気を吸うと固まりやすく、風味も落ちやすくなります。日本の梅雨や夏の保管を考えて、湿気を通しにくい包装材を選びます。ボトルの素材の違いはサプリのボトル素材をご覧ください。

大袋で売る場合、パッケージに飲み方を書く場面が増えます。「1日の目安量」として示し、「食前」「食後」のように服用時期を細かく指定する書き方は、医薬品的な用法用量とみなされるおそれがあるため避けます。

栄養成分表示・強調表示・アレルゲン表示

プロテインパウダーは一般の加工食品として食品表示基準に従い、「高たんぱく」などの表示は別表第12の基準値を満たす場合だけ使えます。

容器包装に入れた加工食品には、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の表示が義務です。100gあたりのほか、「1杯(○g)あたり」のように1食分で表示することもでき、その場合は1食分の量を併記します。消費者庁のガイドラインでは、「プロテイン」のような栄養成分の別名称も栄養表示に当たると整理されています。

表示の種類食品表示基準のたんぱく質の基準値(別表第12)
高い旨(高たんぱく、たんぱく質豊富 など)食品100gあたり17.0g以上、または100kcalあたり8.5g以上
含む旨(たんぱく質源、たんぱく質入り など)食品100gあたり8.5g以上、または100kcalあたり4.3g以上
強化された旨(たんぱく質30%アップ など)比べる食品より100gあたり8.5g以上多く、かつ25%以上多い。比べる食品の名前と増えた量か割合を表示

上の数値は、2025年3月28日の改正(令和7年内閣府令第26号)後の値です。2028年3月31日までに製造された加工食品は、改正前の基準によることもできます。基準は1杯あたりではなく、100gあたりか100kcalあたりで判定します。

強調表示をする場合、表示値は計算による推定ではなく、定められた分析方法で得た値でなければなりません。たんぱく質の許容差はプラスマイナス20%ですが、別のロットの分析値が基準値を下回ると、強調表示の規定を満たさないことになります。原料のばらつきを見込んで配合を決めます。

アレルゲンでは、乳は表示が義務の特定原材料、大豆は表示が推奨される品目です。乳は「乳成分を含む」と表示します。同じ工場で乳や大豆を扱う場合は、混入の可能性と注意喚起の書き方も工場と確認します。詳しくはサプリのアレルゲン表示とサプリの食品表示をご覧ください。

うたえること・うたえないこと

たんぱく質は栄養機能食品の対象成分ではないため、たんぱく質の働きを表示することはできず、筋肉や体型の変化もうたえません。

栄養機能食品として機能を表示できるのは、食品表示基準の別表第11に定められた成分だけです。たんぱく質は含まれていません。保健機能食品以外の食品では、栄養成分の機能を示す用語の表示が禁止されています。ビタミンやミネラルを基準どおりに配合して栄養機能食品にした場合も、表示できるのはその成分の機能に限られます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
1杯でたんぱく質○gをとれる(表示値と一致させる)筋肉がつく、筋肉が増える
毎日の食事に足りないたんぱく質の補給に体が引き締まる、やせる、体型が変わる
水や牛乳に溶かして飲むパウダー体力増強、疲労回復、代謝を上げる

厚生労働省の「医薬品の範囲に関する基準」では、体力増強や新陳代謝を盛んにするといった、体の働きの一般的な増強をうたう表現を医薬品的な効能効果の例に挙げています。ただし、栄養補給や健康維持に関する表現はこの限りではないとされています。

例外は、機能性表示食品として届け出た場合です。届け出た表示内容は、届出の範囲で表示できます。粉末剤は「錠剤、カプセル剤等食品」の定義に含まれる形のひとつで、この区分で届け出るとGMPに基づく製造管理が届出者の義務になります。区分は原材料と形の両方から判断します。制度の全体は機能性表示食品の届出と栄養機能食品の表示をご覧ください。

試作から量産までの進め方

試作は、原料と味の方向性を決める段階、表示と包装を固める段階、量産前に品質を確かめる段階の3つに分けると進めやすくなります。

  1. 方向性の共有:狙う売り場とお客様、1杯のたんぱく質の量、味のイメージ、原料の希望を工場に伝えます。
  2. 試作と試飲:原料の組み合わせと甘味料、香料を変えた試作品を、決めた条件で溶かして比べます。
  3. 配合の確定と分析:配合を決め、栄養成分を分析して表示値を決めます。強調表示をする場合は、ロット間のばらつきも確かめます。
  4. 包装と表示の作成:包装の形と素材を決め、一括表示、栄養成分表示、アレルゲン表示を作ります。
  5. 保存の確認と量産:賞味期限の設定に必要な試験を行い、量産に入ります。

試作で一番時間がかかるのは、味の調整です。試作品の数と回数は工場ごとに異なるため、見積もりの段階で確認しておくと計画が立てやすくなります。進め方はサンプルと見積もりと賞味期限と安定性も参考になります。

見積もり・相談の前に決めておくこと

原料の希望、1杯の量、味、包装、表示したい内容がそろえば、工場はプロテインパウダーの試作と見積もりに進めます。

  • 原料の希望(ホエイ WPC・WPI、ソイ、ピー、組み合わせ)
  • 1杯あたりのたんぱく質の量と、1袋あたりの杯数
  • 味の方向性と、使いたい甘味料・使いたくない甘味料
  • 溶かす飲み物(水、牛乳、植物性ミルク)
  • 包装(大袋、ボトル、スティック)と計量スプーンの有無
  • 「高たんぱく」などの強調表示をしたいか
  • ビタミンやミネラルを加えるか、機能性表示食品を検討するか

ロット・費用・納期は、原料、包装、工場の設備によって変わります。数字は工場ごとに異なるため、上の項目をそろえてから相談すると、比べやすい見積もりになります。

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よくある質問(FAQ)

WPCとWPIは、どちらを選べばよいですか?

味と価格のバランスを重視するならWPC、たんぱく質の割合や乳糖の少なさを重視するならWPIが候補になります。両方を混ぜる設計もできます。同じ名前の原料でも中身は原料ごとに違うため、規格書で確かめて選びます。

「高たんぱく」と表示するには、どれくらい入れればよいですか?

食品表示基準の別表第12では、食品100gあたり17.0g以上、または100kcalあたり8.5g以上が基準です。表示値は定められた分析方法で得た値を使い、ロットのばらつきで基準を下回らないように配合を決めます。

パッケージに「筋肉をつくる」と書けますか?

書けません。たんぱく質は栄養機能食品の対象成分ではなく、たんぱく質の働きを表示することはできません。筋肉や体型の変化をうたう表現は、医薬品的な効能効果や誇大表示と判断されるおそれがあります。機能性表示食品として届け出た場合は、届け出た内容の範囲で表示できます。

乳を使わないプロテインも作れますか?

ソイやピーなど植物性の原料で作れます。ただし、同じ工場で乳を扱っている場合は、混入の可能性を工場と確認し、必要に応じて注意喚起の表示を行います。「乳不使用」と書く場合も、製造記録などで確認できることが前提です。

試作の段階で何を準備すればよいですか?

狙うお客様と売り場、1杯のたんぱく質の量、味のイメージ、参考にしたい市販品の特徴をまとめておくと、試作が早く進みます。溶かす飲み物とシェイカーの使い方も決めておくと、試作品を同じ条件で比べられます。

参考

(2026年10月20日確認)