錠剤のコーティングは、見た目を整えるためだけのものではありません。湿気に弱い原料を守り、においや苦みを抑え、白い錠剤の色をつくる役割もあります。どのコーティングを選び、何で色を付けるかで、パッケージの表示も変わります。
本記事は、日本国内で自社ブランドのサプリを販売したい事業者の方に向けた内容です。コーティングの種類と役割、白い錠剤に使われる二酸化チタンの日本での扱い、表示の確認点を整理します。コーティングは仕上げの工程ではなく、品質を保つ設計の一部として考えるのがポイントです。
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フィルム・糖衣・つや出しの違い
錠剤のコーティングは、薄い膜で包むフィルムコーティング、砂糖の層を重ねる糖衣、表面につやを与える光沢剤の3つに大きく分けられます。
| 種類 | 内容 | よく使われる素材 | 検討すること |
|---|---|---|---|
| フィルムコーティング | 錠剤に薄い膜をかける | HPMC(指定添加物)など | 膜が薄いぶん、強い苦みは隠しにくいことがある |
| 糖衣 | 砂糖の液を何層も重ねて、なめらかで硬い殻をつくる | 砂糖、着色料、光沢剤 | 工程が長く、錠剤が大きく重くなる |
| つや出し(光沢剤) | 表面につやを与え、表面を保護する | シェラック、カルナウバロウ(どちらも既存添加物) | シェラックは昆虫由来 |
光沢剤は、消費者庁の資料で「食品の保護及び表面に光沢を与える目的で使用される添加物」と定義されています。シェラックはラックカイガラムシの分泌液から、カルナウバロウはブラジルロウヤシの葉から得られる既存添加物です。
フィルムと糖衣は、どちらかを選ぶものです。光沢剤は、糖衣やフィルムの仕上げとして組み合わせて使われることがあります。
コーティングで守れるもの:湿気・におい・味
コーティングの実際の役割は、湿気に弱い原料を守ることと、においや苦みが口に広がるのを抑えることです。
| 役割 | コーティングがすること |
|---|---|
| 湿気から守る | 錠剤の表面を膜で覆い、空気中の湿気が中の原料に届きにくくする |
| においを抑える | においの強い原料を錠剤の中に閉じ込める |
| 味を抑える | 口の中で錠剤が溶け始めるのを遅らせ、苦いミネラルやアミノ酸の味を感じにくくする |
コーティングの効果は、素材の種類だけでなく、膜の厚さと、膜が途切れずに覆えているかで決まります。湿気に弱い原料やにおいの強い原料を使う場合は、コーティングも安定性の試験の条件に含めてください。
噛んで食べるチュアブル錠は、口の中で味わう前提の剤形のため、コーティングより味の設計が中心になります。チュアブル錠についてはチュアブル錠のサプリ製造で説明しています。
💬 においや苦みの強い原料を錠剤にしたい方へ。原料の性質を伺い、コーティングと包装の組み合わせをご提案します。お問合せフォーム、またはLINEからご相談ください。
白い錠剤と二酸化チタン
二酸化チタンは日本では白色の着色料として使える指定添加物で、食品安全委員会も2023年に、添加物として使う程度の量なら特に問題ないとしました。
二酸化チタンは、1983年に日本で指定添加物として使用が認められました。規格基準の使用基準では、着色の目的以外に使ってはならないと定められ、カステラ、しょう油、茶、みそ、めん類など、使えない食品も列挙されています。
| 項目 | 日本での扱い |
|---|---|
| 区分 | 指定添加物(1983年に指定) |
| 使用基準 | 着色の目的以外に使用してはならない。使えない食品が列挙されている |
| 食品安全委員会の見解 | 2023年11月の専門調査会での議論を経て、現在の知見からヒトの健康に安全上の懸念を示唆する根拠はなく、食品添加物として使用する程度の量であれば特に問題ないとした |
| 表示 | 着色料として用途名を併記する。簡略名の「酸化チタン」も使える |
食品安全委員会の解説によると、EUは2022年に二酸化チタンの食品添加物としての使用を禁止しました。欧州食品安全機関(EFSA)が、遺伝毒性の懸念を排除できないとした意見を受けたものです。日本の評価は、同じ課題を検討したうえで異なる結論になっています。
日本国内で販売する商品では、二酸化チタンは使用基準の範囲で使えます。使うかどうかは、白さの仕上がりと、商品の打ち出し方を踏まえて決めます。使わない場合は、別の白い素材で色が出るか、コーティングの配合と合わせて試作で確認します。
表示で確認すること
コーティングに使った添加物も、パッケージの添加物の表示に含めます。着色料は用途名の併記が必要で、光沢剤は一括名で表示できます。
- 着色料:「着色料(酸化チタン)」のように用途名を併記する
- 光沢剤:シェラックやカルナウバロウを光沢剤として使った場合は、一括名の「光沢剤」で表示できる
- フィルムの素材:HPMCなどを添加物として表示する
- 植物性をうたう場合:シェラックは昆虫由来のため、植物性をうたう商品には使わない
表示の名前は、コーティング剤の供給元が出す規格書を見て決めます。表示全体の決め方はサプリの食品表示、錠剤に使う他の添加物はサプリに使える添加物(賦形剤)で説明しています。カプセルの素材と比べたい場合は、ハードカプセルの素材と腸溶性カプセルのサプリ製造も参考になります。
見積もり・相談の前に決めておくこと
コーティングの種類、色、原料の性質が決まれば、工場は具体的な提案と見積もりを出せます。
- コーティングの種類(フィルム、糖衣、コーティングなし)
- 錠剤の色と、二酸化チタンを使うかどうか
- 湿気に弱い原料、においや苦みの強い原料の有無
- 「植物性」など、パッケージでうたいたい内容
- 錠剤の大きさと、1日あたりの粒の数
- 包装の形と、機能性表示食品として届け出るかどうか
ロット・費用・納期は工場ごとに異なります。コーティングの種類によって工程の数と設備が変わるため、種類と色が決まった時点で見積もりの前提がそろいます。
💬 錠剤のサプリの製品化をご検討中の方はSunshoにご相談ください。コーティングの選び方から表示の確認まで、製造の段取りを一緒に整理します。お問合せフォーム・LINEから。
よくある質問(FAQ)
フィルムコーティングと糖衣は、どちらがよいですか?
目的によります。フィルムコーティングは膜が薄く、糖衣より工程が短い方式です。糖衣は工程が長く錠剤も大きくなりますが、なめらかで硬い仕上がりになります。
二酸化チタンは、日本のサプリに使ってもよいですか?
日本では指定添加物で、着色の目的であれば使用基準の範囲で使えます。食品安全委員会は2023年に、食品添加物として使用する程度の量であれば特に問題ないとの見解を示しています。
EUで禁止されている二酸化チタンを、日本で使ってよい理由は何ですか?
日本の食品安全委員会は、EFSAの意見を含む情報を検討したうえで、現在の知見からヒトの健康に安全上の懸念を示唆する根拠はないと結論づけました。評価する機関によって結論が分かれている状態です。
コーティングをすると、苦い原料も飲みやすくなりますか?
コーティングで口の中で溶け始めるのを遅らせると、苦みを感じにくくできます。効果は膜の厚さと、膜が途切れずに覆えているかで変わるため、試作で確認します。
シェラックでつや出しした錠剤は、植物性と言えますか?
言えません。シェラックはラックカイガラムシの分泌液から得られる既存添加物です。植物性をうたう場合は、カルナウバロウなど植物由来の光沢剤を検討します。
参考
- 食品安全委員会「二酸化チタンについて」(令和6年1月16日公開、令和6年5月17日更新) https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/nisankatitan_kaisetu.html
- 消費者庁「食品添加物」(食品、添加物等の規格基準 第2 添加物、指定添加物リスト) https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/food_additives
- 消費者庁「食品表示基準について」別添 添加物関係(一括名「光沢剤」の定義、用途名併記を要するものの例示、簡略名一覧、既存添加物名簿収載品目リスト) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/
- 食品衛生法施行規則 別表第1(e-Gov法令検索)
(2026年10月12日確認)