ビタミンB群は、日本の売り場で「B群」「Bコンプレックス」としてまとめて売られることの多いビタミンです。疲れやすい毎日や、肌の調子をテーマにした商品で使われ、ドリンクや錠剤など剤形もさまざまです。ただし、ビタミンB群という一つの成分があるわけではなく、B1・B2・B6・B12・ナイアシン・パントテン酸・ビオチン・葉酸という別々のビタミンの集まりです。

本記事では、ビタミンB群サプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、栄養機能食品として表示する場合の成分ごとの決まり、いわゆる健康食品として売る場合の表示、原料と剤形の決め方を整理します。栄養機能食品の基準は2026年10月1日に改正され、B1・B12・パントテン酸の下限値と、多くの成分の文言が変わりました。B群サプリは成分の数だけ基準があるため、最初に全体を知っておくと設計の手戻りを防げます。

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研究で分かっていること

ビタミンB群の研究は、選別していない健康な人では十分な根拠がないとする評価が多く、良い結果が出た試験も、対象者が限られていたり、ほかの成分と組み合わせていたりします。

試験・レビュー対象結果
系統的レビュー、Cochrane Database of Systematic Reviews 2008(PMID 18843658)高齢者を対象に、葉酸(ビタミンB12との組み合わせを含む)を調べた8試験選別していない健康な高齢者では、認知機能や気分に対する十分な根拠はなかった。葉酸とB12の組み合わせで、血中のホモシステインは下がった
ランダム化比較試験(VITACOG)、PLOS ONE 2010(PMID 20838622)軽度認知障害のある70歳以上の271人。葉酸0.8mg、B12 0.5mg、B6 20mgを毎日、24か月。MRIの評価を終えたのは168人脳の萎縮の速さが、プラセボより小さかった(年0.76%と1.08%)。主な評価はMRIの画像で、認知機能の検査ではない
ランダム化二重盲検試験、International Journal of Medical Sciences 2023(PMID 37786445、PMC10542023)台湾の20〜30歳の健康な男女32人。B1・B2・B6・B12にビタミンE、イノシトール、カルシウム、タウリンを加えた錠剤を28日間疲れきるまでの走る時間が延び、運動中の血中乳酸などが低かった。錠剤はB6が50mgなど高用量で、錠剤メーカーが研究費の一部と試験品を提供

研究の限界は、はっきりしています。良い結果が出たVITACOGは、もともと軽度認知障害のある高齢者が対象で、健康な人に当てはまるとは限りません。2023年の試験はB群以外の成分も入った錠剤を使っており、B群だけの働きは分かりません。錠剤のB1・B6・B12の量は、日本の栄養機能食品の上限値を超えています。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)

栄養機能食品として表示する場合

ビタミンB群は、成分ごとに栄養機能食品の下限値・上限値と文言が決まっており、「ビタミンB群」としてまとめて表示する区分はありません。

栄養機能食品は、国が決めた栄養成分について、決められた機能を表示できる制度です。届出や国の個別審査は必要ありません。そのかわり、量の範囲と表示する文言が、食品表示基準の別表第十一で決まっています。複数のB群を表示する場合は、成分ごとに範囲に入っている必要があります。

別表第十一は、2026年10月1日公布・施行の内閣府令(令和8年内閣府令第89号)で改正されました。主なB群の、1日あたりの摂取目安量に含まれる量の基準は次のとおりです。

成分改正後(2026年10月1日施行)改正前
ビタミンB10.30〜25mg0.36〜25mg
ビタミンB20.42〜12mg同じ
ビタミンB60.39〜10mg同じ
ビタミンB121.20〜60µg0.72〜60µg
ナイアシン3.9〜60mg同じ
パントテン酸1.65〜30mg1.44〜30mg

ビタミンB12の下限値は、0.72µgから1.20µgに大きく上がりました。改正前の下限値に近い量で設計していた配合は、改正後の範囲に入らないことがあります。下限値はいずれも栄養素等表示基準値の30%で、上限値は消費者庁の資料では医薬部外品の1日最大分量をもとにした値と説明されています。

機能の文言は次のとおりです。

成分改正後の文言改正前の文言
ビタミンB1「ビタミンB1は、エネルギーを作るのを助ける栄養素のひとつです。」「ビタミンB1は、炭水化物からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」
ビタミンB2「ビタミンB2は、エネルギーを作るのを助ける栄養素のひとつです。」
「ビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素のひとつです。」
「ビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」
ビタミンB6「ビタミンB6は、たんぱく質からエネルギーを作るのを助ける栄養素です。」
「ビタミンB6は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素のひとつです。」
「ビタミンB6は、たんぱく質からのエネルギーの産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」
ビタミンB12「ビタミンB12は、赤血球を作るのを助ける栄養素のひとつです。」「ビタミンB12は、赤血球の形成を助ける栄養素です。」
ナイアシン「ナイアシンは、エネルギーを作るのを助ける栄養素のひとつです。」
「ナイアシンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素のひとつです。」
「ナイアシンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」
パントテン酸「パントテン酸は、エネルギーを作るのを助ける栄養素のひとつです。」「パントテン酸は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」

パントテン酸とビタミンB1は、改正後は「皮膚や粘膜」の文言がなくなり、エネルギーに関する文言だけになりました。摂取をする上での注意事項は、6成分とも改正の前後で同じ次の文言です。

「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。」

ビオチン(15〜500µg)と葉酸(72〜200µg)も栄養機能食品の対象です。葉酸を表示する場合は、胎児の発育に関する注意事項が加わります。

改正府令の附則には経過措置があり、令和12年(2030年)3月31日までに製造・加工・輸入される加工食品は、改正前の基準によることもできます。複数の成分を表示する場合も、量と文言は改正後か改正前のどちらか一方の基準でそろえます。

機能の文言と注意事項は、主旨が同じでも言い換えや省略が認められていません。ほかにも、次の表示が必要です。

  • 「栄養機能食品(ビタミンB1・ビタミンB2)」のような、栄養機能食品である旨と成分の名称
  • 1日あたりの摂取目安量と、摂取の方法
  • 「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の文言
  • 「本品は、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」の文言
  • 1日あたりの摂取目安量に含まれる各成分が、栄養素等表示基準値に占める割合

B群のように食事摂取基準で摂取基準が決まっている栄養素は、機能性表示食品の機能性関与成分にはできません。

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

栄養機能食品の表示をしないビタミンB群サプリは、身体への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定ビタミンB群サプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)「疲労回復」「肩こり・目の疲れに」「口内炎に」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「医師も推薦」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1粒にビタミンB1〇mg、B2〇mg…」(成分ごとの量の事実)「飲むとすぐ元気に」「疲れが取れる」
栄養機能食品の決まった文言(範囲内の量で、成分ごとに言い換えずに使う)複数の成分の機能を一つの文にまとめた表現
「忙しい毎日の食事が偏りがちな方に」(使用場面)組み合わせ錠剤の運動試験を、B群だけの効果のように見せる表現

厚生労働省のパンフレット「健康食品の正しい利用法」は、ビタミンB6と抗てんかん薬のフェニトイン、ナイアシンと高コレステロール血症の治療薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の組み合わせを、相互作用の例として挙げています。商品ページには、服薬中の方は医師・薬剤師に相談するよう書いておくと安心です。

ビタミンB群の製剤設計

ビタミンB群は成分ごとに量の単位も安定性も違うため、B群の仕様書は、成分ごとの小さな仕様を積み重ねたものになります。

剤形選ばれる理由検討すること
錠剤mg単位とµg単位の成分を一粒にまとめやすく、1回あたりの費用を抑えやすい量を多くすると粒が大きくなる
ハードカプセル味がなく、他の成分と組み合わせやすい1粒に入る量と、1日の粒数
ドリンク・顆粒スティック日本の売り場でなじみのある形色・におい・味と、液体での安定性

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の形:同じビタミンでも、塩の種類や形の違う原料があります。B12のように微量で配合する成分は、希釈した原料を使うことも多いため、成分としての含有量を原料の規格書で確認します。
  2. 成分ごとの量:栄養機能食品にするなら、表示する成分すべてを改正後の範囲に入れます。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人の耐容上限量をビタミンB6で40〜60mg(ピリドキシンとして)、ニコチン酸で60〜85mg、ニコチンアミドで250〜350mgとしています。
  3. 組み合わせる成分:ビタミンC、マグネシウム、鉄、植物素材などと組み合わせることがあります。植物素材は、食品に使えるかどうかの確認が欠かせません。
  4. 包装・安定性:B群には、光・熱・湿気で減りやすい成分があります。原料メーカーの安定性データを確認し、遮光性のある包装や乾燥剤を検討します。

食品表示基準の別表第九では、ビタミンB群の表示値の許容差を、プラス80%からマイナス20%までと定めています。保管中の減少を見込んで多めに配合する場合も、成分ごとの上限値を超えないように設計しておくと安心です。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

ビタミンB群自体は食品に使われていますが、疲れや元気をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。組み合わせる成分を検討する際は、葉酸、マルチビタミン、ビタミンCの成分ガイドと、栄養機能食品の基準のまとめも参考にしてください。

見積もりの前に決めておくこと

配合するB群の種類と量、表示する成分、剤形、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • 配合するB群の種類と、成分ごとの1日あたりの量
  • 栄養機能食品として表示する成分と、使う文言(改正後か経過措置か)
  • 剤形と、1日の粒数
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 遮光・防湿を含む包装の形と、表示に使える面積
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

表示する成分が増えるほど、包装に並ぶ文言も増えます。表示面積が足りるかは、配合を決める段階で確認しておくと進めやすくなります。

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よくある質問(FAQ)

「ビタミンB群」として、まとめて機能を表示できますか?

できません。栄養機能食品の基準は成分ごとに決まっており、表示する成分ごとに範囲に入る量を配合し、決まった文言を並べて表示します。複数の成分の機能を一つの文にまとめることもできません。

2026年10月の改正で、B群の基準は何が変わりましたか?

B1・B12・パントテン酸の下限値が変わり、多くの成分で文言が新しくなりました。上限値と注意事項は変わっていません。2030年3月31日までに製造する食品は、改正前の基準によることもできます。

ビタミンB12の量は、改正後も今のままで大丈夫ですか?

下限値が0.72µgから1.20µgに上がったため、確認が必要です。改正後の基準で表示する場合、1日あたりの摂取目安量に1.20µg以上を含むように配合を見直します。

B群は水に溶けるので、多く入れても問題ないのですか?

そうとは言えません。食事摂取基準は、ビタミンB6やナイアシンに耐容上限量を設けています。栄養機能食品の上限値も成分ごとに決まっているため、多めに配合する場合も範囲を確認します。

疲れに関する表示をしたい場合はどうすればよいですか?

いわゆる健康食品では、疲れが取れるといった効果をうたうことはできません。栄養機能食品の範囲で、成分ごとの「エネルギーを作るのを助ける」などの決まった文言を使う方法があります。

参考

(2026年10月12日確認)