食物繊維は、日本の健康食品で最もなじみのある素材の一つです。なかでも難消化性デキストリンは、お茶や炭酸飲料、粉末スティックまで幅広く使われ、トクホ(特定保健用食品)や機能性表示食品の関与成分としてもよく知られています。

本記事では、食物繊維サプリを自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、難消化性デキストリンを中心に、研究で分かっていること、トクホと機能性表示食品での扱い、いわゆる健康食品として売る場合の表示、剤形と量の決め方を整理します。食物繊維サプリは原料が扱いやすい一方で、研究の多くが原料メーカーの資金で行われています。その事実を知っておくと、広告の言葉を選ぶときに迷いにくくなります。

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研究で分かっていること

難消化性デキストリンは、プラセボと比べて排便の回数と便の量を増やしたという報告が、ランダム化比較試験とメタ分析で一貫していますが、どちらも原料メーカーが資金を出した研究です。

試験・レビュー対象結果
系統的レビューとメタ分析、Clinical and Experimental Gastroenterology 2018(PMID 29535547、PMC5836649)健康な成人や便秘傾向の成人(治療中の人を除く)を対象にした29件のランダム化比較試験(28報)プラセボと比べて排便回数(7日あたりに換算)が平均0.71回多く、便の量も有意に増えた。試験間のばらつきは小さい
ランダム化比較試験、European Journal of Nutrition 2016(PMID 26437831、PMC5122613)毎日の排便習慣がない18〜30歳の健康な成人66人(解析は57人)。スペインの大学で、1日15gを21日間大腸の通過時間が始める前より約13.3時間短くなり、便の量は56%増えた。プラセボ群では変化がなかった

メタ分析は、試験の運営と資金提供を原料メーカーが行い、著者の1人がその会社の社員であると記載しています。スペインの試験も、同じ原料メーカーの資金で行われました。資金提供があるから結果が誤りというわけではありませんが、独立した研究が少ない点は、販売する側が知っておくべき事実です。

試験の対象は、健康な成人や便秘傾向の成人でした。病気の診断を受けた方の試験ではないため、腸の病気について何かを示すものではありません。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録と本文を確認)

機能性表示食品として届け出る場合

難消化性デキストリンは、トクホの規格基準型の関与成分であり、機能性表示食品でも関与成分として多く届け出られています。

トクホは、製品ごとに国の審査を受けて許可を得る制度です。そのなかの規格基準型では、許可の実績が多い成分について、量と表示の内容が決められています。難消化性デキストリンの規格基準は、食物繊維として1日3g〜8gで、「おなかの調子を整えます」という趣旨の表示です。注意事項として、摂り過ぎや体質・体調によりおなかがゆるくなることがある旨も決められています。

規格基準型には、食後の血糖値や中性脂肪に関する区分もあります。ただし、どれも許可を受けた製品だけの表示です。許可を受けていない食品が同じ言葉を使うことはできません。

機能性表示食品は、届出者が自らの責任で、科学的根拠と安全性の情報を販売前に消費者庁へ届け出る制度です。国の審査や許可ではありません。難消化性デキストリンを関与成分にした届出では、「おなかの調子を整え、便通を改善する」趣旨の表示がよく見られます。

2024年の制度改正で、錠剤・カプセル・粉末などのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMPに基づく製造管理が届出者の義務となり、2026年9月1日に完全施行されています。届け出るときに決めることは、主に次の3つです。

  • 根拠の取り方:既存の研究を集めた研究レビューを使うか、最終製品で臨床試験を行うか
  • 関与成分の量:根拠とする研究で使われた1日あたりの量と合わせる
  • 分析の方法:製品中の食物繊維の量を測る方法と、その結果を保証する体制

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いわゆる健康食品として売る場合の表示

トクホの許可や機能性表示食品の届出がない食物繊維サプリは、おなかや排便への効果をうたうと、医薬品とみなされたり誇大表示になったりするおそれがあります。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定食物繊維サプリで注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)「便秘が治る」「便秘薬の代わりに」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「医師も推薦」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。2026年9月に公表されたインターネット上の監視結果でも、いわゆる健康食品の「腸内環境を整える」「糖と脂肪の吸収を抑える」といった表示が、健康増進法に違反するおそれがあるとして改善指導の対象になりました。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1包に食物繊維〇g(難消化性デキストリン)」(量の事実)「便秘に効く」「便秘を解消」
「毎日の食物繊維に」(食生活の補い)「腸内環境を整える」「血糖値を下げる」
トクホ・機能性表示食品として許可・届出を受けた表示(その範囲内)研究の条件と資金提供を示さない「臨床で実証済み」

食物繊維の製剤設計

難消化性デキストリンは水に溶けやすく、甘みが少なく熱にも強いため、粉末・飲料・カプセルのどれにも使えますが、グラム単位の量が剤形選びを左右します。

剤形選ばれる理由検討すること
顆粒・粉末スティック飲み物に溶かせて、グラム単位の量を1包で摂れる溶けやすさと、包材の防湿
粉末(大袋・ボトル)1回あたりの費用を抑えやすい計量スプーンと、開封後の吸湿
ハードカプセル・錠剤味がなく持ち運びやすい1粒に入る量が少なく、数粒が必要になる
飲料トクホや機能性表示食品でなじみのある形味の設計と、容器・殺菌の条件

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 原料の種類と規格:難消化性デキストリンのほか、トクホの規格基準型にも入っているポリデキストロースやグアーガム分解物などがあります。原料メーカーに食物繊維の含有率、溶けやすさ、分析方法を確認します。
  2. 1日あたりの量:トクホの規格基準は難消化性デキストリンで食物繊維として3g〜8gで、スペインの試験は15gでした。根拠とする研究の量に合わせつつ、おなかがゆるくなる量も考えて決めます。
  3. 組み合わせる成分:乳酸菌やオリゴ糖と組み合わせる配合がよくあります。組み合わせる成分ごとに、食品に使えるかの確認が必要です。
  4. 包装:粉末は湿気を吸いやすいため、アルミのスティック包装や乾燥剤を検討します。

メタ分析では、難消化性デキストリンでおなかがゆるくならない最大量(体重1kgあたり男性1.0g、女性1.1g)が紹介されています。体重60kgなら約60gに当たり、ほかの難消化性の糖類より大きい値です。それでも、表示にはトクホと同じように、摂り過ぎに関する注意を入れておくと安心です。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

難消化性デキストリンは食品として広く使われていますが、「すっきり」をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認はサプリメントOEMのページで説明しています。制度の違いはトクホのガイドと機能性表示食品のガイド、組み合わせる成分は乳酸菌や青汁のガイドもご覧ください。剤形は粉末スティックの製造ガイドで詳しく説明しています。

見積もりの前に決めておくこと

原料の種類、1日あたりの量、剤形、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • 食物繊維の原料の種類と、1日あたりの量(食物繊維として)
  • 1包(1本)あたりの量と、1箱あたりの日数
  • 剤形と、粉末や飲料の場合は味
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 包装の形
  • トクホ・機能性表示食品・いわゆる健康食品のどれで売るか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

量と剤形の組み合わせによって、1日分が1包に収まるか、数包や数粒に分かれるかが変わります。売り方とあわせて早めに決めておくと、試作の回数を減らせます。

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よくある質問(FAQ)

難消化性デキストリンは、研究で排便との関係が確かめられていますか?

2018年のメタ分析では、29件のランダム化比較試験をまとめて、排便の回数と便の量がプラセボより増えたと報告されています。ただし、メタ分析も主な試験も原料メーカーの資金で行われており、その点も踏まえて言葉を選ぶことが大切です。

トクホの商品と同じ「おなかの調子を整えます」を書けますか?

書けるのは、トクホの許可を受けた製品か、機能性表示食品として届け出た表示の範囲に限られます。いわゆる健康食品で同じ言葉を使うと、医薬品的な効果や誇大表示とみなされるおそれがあります。

1日にどのくらいの量を入れるのが一般的ですか?

トクホの規格基準型は、難消化性デキストリンで食物繊維として1日3g〜8gです。研究では1日15gの試験もあります。量が多いほどおなかがゆるくなりやすいため、根拠とする研究と飲みやすさの両方から決めます。

カプセルで作ることはできますか?

作れますが、1粒に入る量は少ないため、グラム単位の量を摂るには数粒が必要になります。食物繊維の量を重視するなら、顆粒・粉末スティックが向いています。

工場に製造を断られることはありますか?

食物繊維そのものよりも、組み合わせた植物素材が原因になることがあります。配合するすべての成分が食品に使えるかを、最初に確認します。

参考

(2026年10月12日確認)