MCTオイルは、中鎖脂肪酸(主にオクタン酸とデカン酸)でできた油です。ふつうの食用油に多い長鎖脂肪酸とは体内での使われ方が違うとされ、日本ではオイルのほか、粉末やカプセル、菓子や飲料にも使われています。体脂肪をテーマにした機能性表示食品として届け出られた商品もあります。

本記事では、MCTオイルのサプリや食品を自社ブランドでOEM製造したい事業者の方に向けて、研究で分かっていること、機能性表示食品として届け出る場合の考え方、いわゆる健康食品として売る場合の表示、剤形の決め方を整理します。MCTオイルの研究の多くは「ふつうの油をMCTオイルに置き換えた」比較です。足すだけで体重が減るという話とは違うことを知っておくと、表示の言葉選びで失敗しにくくなります。

💬 MCTオイルを使った商品の企画をお考えの方へ。 配合と剤形の確認から、日本国内のGMP認証を取得した提携工場での製造までご相談いただけます。詳しくはサプリメントOEMをご覧ください。

研究で分かっていること

長鎖の油をMCTオイルに置き換えた試験の統合では、体重やウエスト周囲径に小さな差が報告されていますが、企業の影響による偏りも指摘されています。

試験・レビュー対象結果
系統的レビュー・メタ分析、Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics 2015(PMID 25636220)健康な大人を対象に、MCT(C8・C10)と長鎖の油を3週間を超えて比べたランダム化比較試験13件・749人MCTのほうが体重が平均0.51kg、ウエスト周囲径が1.46cm少ない。体脂肪も少ない。血中脂質に差はない。企業の影響による偏りが見られ、試験の期間や量はばらばら
二重盲検比較試験、The Journal of Nutrition 2001(PMID 11694608)健康な男女78人。総脂質60g/日の食事で、MCTを含む油と長鎖の油を12週間どちらの群も体重と体脂肪が減った。BMI 23以上の人では、MCT群のほうが体重と体脂肪の減り方が大きい(8週で体脂肪−3.86kg対−2.75kg)
系統的レビュー・メタ分析、Clinical Nutrition 2024(PMID 38936302)過体重または肥満の方を対象に、MCTを多く含む食事と長鎖の油を多く含む食事を比べた試験体重の減少率がMCTで1.53%大きい。中鎖と長鎖を組み合わせた油では有意な差がない

差の大きさは、体重で約0.5kgと小さく、比べる相手は「油をとらない食事」ではなく「長鎖の油」です。2015年のレビューの著者は、利害関係のない研究グループによる大きな試験で確かめる必要があり、適した量もまだ分からないと述べています。

(2026年10月12日時点で、各論文の公開抄録を確認)

機能性表示食品として届け出る場合

中鎖脂肪酸は機能性表示食品で使われている成分で、BMIが高めの方の体脂肪やウエスト周囲径に関する表示の届出があります。

機能性表示食品は、届出者が自らの責任で、機能性の科学的根拠と安全性の情報を販売前に消費者庁へ届け出る制度です。国の審査や許可ではありません。表示できるのは、届け出た根拠の範囲の内容で、病気の治療や予防を目的とする表現は認められていません。

中鎖脂肪酸の届出では、オクタン酸とデカン酸を機能性関与成分とし、「BMIが高めの方の体脂肪や内臓脂肪、ウエスト周囲径を減らすことが報告されている」という趣旨の表示が使われています。対象者を「BMIが高め」の方に限っている点が特徴です。

2024年の制度改正で、届出者の責任は重くなりました。カプセルなどのサプリメント形状の機能性表示食品は、GMP(製造工程管理の基準)に基づく製造管理が届出者の義務となり、2026年9月1日に完全施行されています。健康被害の情報を消費者庁に報告することも、届出者の義務です。

MCTオイルで機能性表示食品を目指すときに決めることは、主に次の3つです。

  • 根拠の取り方:既存の研究を集めた研究レビューを使うか、最終製品で臨床試験を行うか
  • 関与成分の量:根拠とする研究で使われた1日あたりのオクタン酸・デカン酸の量と合わせる
  • 分析の方法:製品中のオクタン酸とデカン酸の量を測る方法と、その結果を保証する体制

制度の全体像は、機能性表示食品の解説で詳しく説明しています。

💬 機能性表示食品として届け出るか、まずはいわゆる健康食品として発売するか迷っている方へ。 剤形と販売方法を伺い、製造の段取りまでご提案します。お問合せフォーム、またはLINEからどうぞ。

いわゆる健康食品として売る場合の表示

機能性表示食品として届け出ないMCTオイルの商品は、体脂肪や体重への効果をうたうと医薬品とみなされるおそれがあり、表示できる内容は大きく限られます。

健康食品の広告や表示には、主に次の法律がかかわります。

法律かかわる規定MCTオイルの商品で注意すること
医薬品医療機器等法(薬機法)承認前の医薬品の広告の禁止(第68条)「脂肪を燃やす」「やせる」「肥満の方に」など医薬品的な効果をうたうと、未承認医薬品の広告とみなされるおそれがある
健康増進法誇大表示の禁止(第65条)健康の保持増進の効果について、著しく事実と異なる表示や、人を誤認させる表示はできない
景品表示法優良誤認表示の禁止根拠のない「飲むだけで-5kg」「No.1」などの表示

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」で、問題となる表示の例を示しています。違反かどうかは、個々の言葉だけでなく、表示全体から判断されます。

比較的安全な言い方避けるべき言い方
「1包にMCTオイル〇g」(量の事実)「飲むだけで脂肪が燃える」「体脂肪が落ちる」
「いつもの料理や飲み物にプラス」(使用場面)機能性表示食品の届出表示を、届け出ていない商品で使う表現
機能性表示食品として届け出た表示(届出の範囲内)長鎖の油との比較試験の結果を、油を足すだけで体重が減るように見せる表現

MCTオイルの製剤設計

MCTオイルは1日に数gの量を使う成分のため、オイル・粉末・カプセルのどれを選ぶかで、1回量と飲みやすさが大きく変わります。

剤形選ばれる理由検討すること
オイル(ボトル・個包装)1回にとれる量が最も多く、料理や飲み物に使いやすい容器の素材、1回量の目安の示し方
粉末スティック油っぽさがなく、飲み物に溶かしやすい粉末にするための素材を含むため、MCTの割合はオイルより低い
ソフトカプセル量を正確にそろえやすく、持ち運びやすい数gをとるには粒数が多くなる

仕様を決めるときに確認することは次のとおりです。

  1. 脂肪酸の組成:オクタン酸(C8)とデカン酸(C10)の比率は原料によって違います。原料メーカーに組成と規格を確認します。機能性表示食品にするなら、届出の根拠と同じ組成で考えます。
  2. 1日あたりの量:根拠とする研究の量に合わせます。一度に多くとるとおなかがゆるくなることがあるため、少ない量から始める飲み方の案内を考えておきます。
  3. 剤形と使い方:料理に使うならオイル、飲み物に溶かすなら粉末、手軽さならカプセルです。粉末は、粉末化に使う素材の原材料表示も確認します。
  4. 組み合わせる成分:体重や代謝をテーマにした配合では、植物素材を組み合わせることがあります。植物素材は、食品に使えるかどうかの確認が欠かせません。
  5. 包装と安定性:粉末は吸湿を防ぐ包装、オイルは光や熱を避ける容器を検討します。

MCTオイルは、同じ「1包」でもオイルと粉末で中鎖脂肪酸の量が違います。仕様書には製品の重さと、中鎖脂肪酸としての量の両方を書いておくと、工場とのやりとりで行き違いが起きにくくなります。

最初に確認すること:食品に使える成分か

日本では成分によって食品か医薬品かが決まるため、配合するすべての成分が食品に使えるものでなければ、サプリとして製造できません。

厚生労働省は、昭和46年の通知(薬発第476号)の考え方に基づき、「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」を示しています。このリストにある成分を含む製品は、表示にかかわらず医薬品と判断されます。

MCTオイルは食用の油として使われていますが、体重や代謝をテーマにした配合では、組み合わせる植物素材が問題になることがあります。配合の確認は、サプリメントOEMのページで詳しく説明しています。剤形の選び方は粉末スティックの解説やソフトカプセルの皮膜の解説、ほかの成分はクレアチンやGABAの成分ガイドも参考にしてください。

見積もりの前に決めておくこと

脂肪酸の組成、1日あたりの量、剤形、組み合わせる成分、包装が決まれば、工場は正確な見積もりを出せます。

  • MCTオイルの原料と、オクタン酸・デカン酸の組成
  • 中鎖脂肪酸としての1日あたりの量
  • 剤形(オイル・粉末スティック・ソフトカプセル)と包装の形
  • 組み合わせる成分と、その量
  • 機能性表示食品として届け出るかどうか
  • 初回の製造数と、年間の見込み数

剤形によって製造する工場の設備が変わるため、オイルか粉末かカプセルかは早めに決めておくと進めやすくなります。

💬 MCTオイルの商品づくりを、剤形選びから一緒に考えたい方はSunshoへ。 量・剤形・表示の方針を伺い、日本国内のGMP認証を取得した提携工場での製造をご提案します。お問合せフォーム・LINEから。

よくある質問(FAQ)

MCTオイルで体重が減ることは、研究で確かめられていますか?

長鎖の油をMCTオイルに置き換えた試験の統合では、体重が平均約0.5kg少ないという小さな差でした。油を足すだけで体重が減ることを示したものではなく、企業の影響による偏りも指摘されています。

MCTオイルで「体脂肪を減らす」と書けますか?

機能性表示食品として届け出て、届け出た根拠の範囲であれば、その趣旨の表示ができます。届け出ていないいわゆる健康食品では、体脂肪への効果をうたう表示は避ける必要があります。

MCTオイルの機能性表示食品は、どんな人が対象ですか?

中鎖脂肪酸の届出では、BMIが高めの方を対象にした表示が使われています。根拠とした研究の対象者に合わせて表示が決まるため、自社で届け出る場合も、研究の対象者と表示をそろえます。

オイルと粉末では、どちらがよいですか?

使い方で選びます。中鎖脂肪酸を多くとりたいならオイル、飲み物に溶かす手軽さを重視するなら粉末です。粉末は粉末化の素材を含むため、同じ重さでも中鎖脂肪酸の量が少なくなります。

MCTオイルで、おなかがゆるくなることはありますか?

一度に多くとると、おなかがゆるくなることがあります。少ない量から始めて様子を見ることを、商品の案内に入れておくと安心です。

参考

  • Mumme K, Stonehouse W. “Effects of medium-chain triglycerides on weight loss and body composition: a meta-analysis of randomized controlled trials”, Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics 2015, PMID 25636220, doi 10.1016/j.jand.2014.10.022
  • Tsuji H, et al. “Dietary medium-chain triacylglycerols suppress accumulation of body fat in a double-blind, controlled trial in healthy men and women”, The Journal of Nutrition 2001, PMID 11694608, doi 10.1093/jn/131.11.2853
  • He H, et al. “The impact of medium-chain triglycerides on weight loss and metabolic health in individuals with overweight or obesity: A systematic review and meta-analysis”, Clinical Nutrition 2024, PMID 38936302, doi 10.1016/j.clnu.2024.06.016
  • 消費者庁「機能性表示食品の届出等に関する手引き」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(令和4年12月5日一部改定) https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第68条/健康増進法 第65条(e-Gov法令検索)

(2026年10月12日確認)